「もう限界だ……君といると苦しい」


聖なる夜のパーティ会場を一歩出た瞬間に、大好きな婚約者は言った。


「悪いが、先に帰ってくれ。馬車は用意する」


エスコートで嫌々握っていたのだろう優しい手を離して、目もあわせずにせっぱ詰まった声を出した彼は去って行ってしまった。



この小国の第二王子、ルーカス様。

私の、大好きな婚約者様。