私のお兄ちゃん season1

1時間目と2時間目の間の休み時間、玲蘭を有澤と入江がまた取り囲む。


「おい、雨宮、なんとか言えよ。」

「何、人の男に手ェ出してやがんだよ。」


そこに遅れて登校してきた伊織が、玲蘭の異変に気づく。


「黙ってないでなんとか言えよ。」


「やめろよ。」


伊織が有澤の肩を掴んだ。


「会長が何したっつーんだよ。」


「は?てめぇ、よくいけしゃーしゃーと。」


「昨日、生徒会室でこいつとキスしてたんだろ?浮気してんじゃねーよ!」



伊織は少し驚いた顔をするが、すぐに表情を引き締める。



「もし、してたとしても、てめぇらには関係ない話しだろうが。雨宮に絡むな。」



すると、さりなが机をバンと音を立てて、立ち上がる。



「なんなの。それ。
 私の気持ちはどうなるのよ、伊織。」



伊織はため息をついた。



「めんどくせぇこと、言うなよ。」



「伊織。この際だからハッキリ言わせてもらうけど。前から聞きたかったの。


私と付き合ってて、楽しくないと思ってるでしょ?付き合ってるのは、私をボーカルとして使いためだけ?」



「そう、思うならそうなんじゃない?」




伊織のハッキリと言わないまでも、遠回しにそうなんだと思わせる言い方に、さりなはショックを受ける。



「酷い!さりなを泣かすなよ。」



有澤が叫ぶと、伊織はうるせぇ、と叫んだ。




「交換条件にしたのはお前だろ。」




さりなは、泣いて教室を飛び出して行った。
有澤と入江がそれを追いかけていって、チャイムが鳴る。



伊織は乱暴に席に座った。