いつどこで誰が何をした



「……ひかる…俺が死ねばいいって思ってる?」
え?

「そんなこと思ってないよ。生き残ってほしいと思ってるよ」
「…嘘なんだろ?どうせみんなそんなこと思ってないんだろ?」
なんだよネガティブかよ、めんどくさいな。

「思ってるよ。思ってるに決まってるよ」
当たり前じゃん。


だって
「一人でも多く残ってた方が、自分が指名される確率が下がるでしょ?」

そう淡々と言葉を連ねる。
僕の言葉を聞き、大本が信じられないと言いたげに目を見開く。


「……ひかる…お前…」
なに。
「もしかして大事なクラスメイトだからとでも言ってもらえると思った?」
「っ…」

「ねぇ…大本」
自ら大本に歩み寄り距離を詰める。
また首を掴まれるかとも思ったけど大本は目を見開いたまま、僕が近づいてきたことにびくっとして少し後ろに引く。

「今更そんな綺麗事言われて嬉しい?」
「…ひ、かる?」


「このゲームは僕たちの日常を覆す異常なものなんだよ。『普通』の概念をぶち壊してくれる破天荒そのものなんだよ。
完全にそこに両足突っ込んでる僕らが今更そんな無意味な綺麗事連ねたところでどうにもならないだろ?
俺らに明日はもう約束されない。現実を受け止めなきゃ。
ねぇ、そんなこともできないくせに偶然かもなんてぬるいことほざかないでくれる?」


だんだん声が大きくなって距離も近くなって、大本の目をかなり至近距離で見ていた僕は、はっと我にかえった。

んー
これから死ぬかもしれない人間に追い打ちをかけるのは良くなかったかな。

でも…野々村達の死から何も得られなかったこの体がデカいだけの男にムカついてしまったのだ。


「……ひかる…」
力のない声が僕の名前を呼ぶ。
「あーごめん」
感情のこもってない謝罪を飛ばして距離を取る。

「とにかく、理由はなんであれ死んで欲しいとは思ってないよ。やれることはやってみるべきだよ。死にたくないのならね」
大本は相変わらず鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしているだけで動かない。


「じゃあね。ご武運を」
慈悲深い言葉なんて求めないでくれよ。
それはあんたの友達にでも頼んでくれ。
振り向かずに去った。