「まさか、野々村の死も催眠が関係してるってこと?」
「でも野々村は別に死ぬなんて思い込んでなかったよ」
柳谷が頭を抱える。
「そこなんです。そこで私の兄の研究が関わってくるんです。私の兄の所属している研究グループは、脳に強制的に『思い込み』をさせる小型の機械を開発したんです」
!
「強制的…?」
まさか…
「本人の意思関係なく、プログラミングしたことを脳が強制的に信用して、体をその作用に働かせる。本来は心理的原因の病気の治療のために開発されたんですが、言わずもがなこの機械は危険すぎる。だから開発は中止になったんです。
でも……」
…?
「でも、なんだよ」
東坡がいつのまにか席を立っている。
柳谷や枕崎も前のめりで話を聞いている。
「…2ヶ月ほど前、その研究データが盗まれたんです」
!
「なっ」
「嘘だろ」
「…そんな」
「研究員の一人が消えたのでその人が犯人の可能性があるとして探すことになりました。でもあの機械はあまりにも危険すぎるので、こんなことが公になれば世間は大混乱を起こす。だから警察には言っていないそうです。わずかな手がかりの中から時間をかけて財閥の力だけで探した。そしてついこの前…発見に至りました」
!
見つかったんだ。
「…しかし、行方不明になっていたその研究員は…山の中で、遺体で見つかったそうです」
「…遺体…?」
「はい。研究データは見つからなかった」
「確実とは言えませんが…研究データが盗まれ、さらに行方不明になっていた研究員が死亡した。そして私が転校してこのゲームが始まり、野々村さんは奇怪な死を遂げた…
もし、兄のグループの研究が関係しているとすれば…無理やりではあるけど、このゲームの仕組みに説明をつけることはできますよね」
…なるほど。
「確かにそれなら…辻褄が合わないこともない。撃たれた刺されたでもない、あの死に方に説明をつけるとしたら…野々村本人の意思で脳が体を壊したとしか言いようがない。それに思い込みなら、時間を指定することも可能」
枕崎が一際低い声で言った。
「…他人に脳を操作されたってことか」
柳谷が力無く椅子に座る。
「…この話は兄と父が話しているのを偶然聞いたものです。現在研究データがどうなっているか、機械の仕組みなど詳しいことはわかりません。兄も父も私に研究の話をするのを嫌がるので…
だから正確かどうかは断言できませんが…」
久遠さんが暗い顔で言う。

