「野々村も…あの時間に保健室で逆立ちをしてれば…助かったんだ」
杉山がボソッと言った。
その言葉にしんとするクラス。
それ今言うなよな。
せっかく少しだけ明るくなってたのに。
「振り返ったって仕方ない。むしろ野々村がいなかったらもっと犠牲者が増えてたかもしれない。不謹慎だけど、もういなくなってしまったことを後悔するんじゃなくて、俺らに鍵を握らせてくれたって感謝したほうがいい」
片桐が落ち着いた声で言った。
杉山は深く頷いた。
「杉山」
僕の声にゆっくり振り向く杉山。
「檜山はゲームオーバーになってないよ。ばつ印がついてない。きっと生きてる」
「!」
確認したかったことはこれだ。
返信していなければ多田や中谷のようにばつ印がついているはず。
でもそれがないってことはおそらく彼は返信したのだろう。
「……よかった」
杉山がほっとした表情でその場に座り込んだ。
「に、新田くん」
ん?
「あの、ありがとう…」
梅原が地べたに座り込んだまま僕を見上げて言った。
「いいよ別に。梅原が死ななくてよかった」
「新田くんのおかげだよ。本当にありがとう」
「どういたしまして」
まだ恐怖の残りか、震えている梅原の肩を叩いてなるべく優しく笑った。
梅原は僕をじっと見てから俯いた。
でも、まだこの段階はいわばレベル1程度な気がする。
こんな莫大な力を持っていて、僕らを手玉にとれるであろう犯人が、安易な内容ばかりで終わるとは思えない。
そうだ。
人数は減らないほうがいい。
そうに決まってる。
極力協力して、犠牲者を減らすんだ。

