いつどこで誰が何をした



「チッ…んならさっさと出てこいよ」

後ろの方で東坡が舌打ちをした。
みんなもざわざわと周りを見回す。


「お前か!」
「ちげーよ!!」
「私じゃないよ!」
「当たり前じゃん」
「おい誰だよ!」
みんなの目が疑惑の色に染まっていく。
人間って面白いくらいに単純で汚い生き物だ。

「出てくるわけないじゃん」
山野が東坡を横目で見る。
東坡の顔が激しく歪んだ。


「もっと合理的に探したほうがいい」
枕崎が呟く。
「合理的にって…どうやって探すんだよ」
よしきが少しイライラしたように枕崎を見た。
「このゲームの目的、ゲームが始まるまでの状況や環境、人間関係から…かな?」
枕崎が返す。

まあそういうことだね。
つまりは推理しろってこと。


「こんな状況で言うのもあれだけど…俺が一番気になってるのは久遠さんかな」
枕崎が淡々と言った。

「へ?」
思わぬ名前にざわつくクラスメイト。
久遠さんの素っ頓狂な声が後ろから聞こえた。
「久遠さんが転校してきた日に始まったからね。このゲームは」
枕崎の感情のない綺麗な目が久遠さんを捉える。


「た、たしかに…」
「転校初日が…ゲームの最初の日」
「久遠さんなの…」

疑いの目を向けられ慌てて立ち上がる久遠さん。
「違います!私はそんなことしません!だいたい…まだこのクラスの事も何もわかってないのにこんなこと…する動機がありません!」
苦しそうに俯く。


動機か…
「確かに動機っていうのを考えるとおにゅーの人より、僕らをよく知ってて恨んでるーとかいう人間の可能性が高いよね。僕らのことをよく知ってる人の方が全体図は仕組みやすいだろうし」
「恨み…」
僕の言葉を柿田がボソリと繰り返した。

「久遠さんは学校自体初めてなんでしょ?だったらここまでやるのはハードルが高すぎるよ。それにもし本当に久遠さんが犯人だったら、ゲーム初日に転校してくるなんて明らかに怪しいことしないでしょ」
「ひかるさん…」

僕の言葉に何人かのクラスメイトが納得してくれる。牧村が疑ってごめんねと久遠さんの肩を叩いた。


転校してきたってだけの理由で久遠さんを疑うのはあまりに軽率すぎる。
そんなの誰にでも予想できることだ。

久遠さんについては転校の事実より、やっぱり柳谷が言ってた金銭的な問題の方がリアルだ。
おそらく彼女が犯人ではなかったとしても、このゲームと何かしらの関係があると考えるのが自然だ。