「ひかるー!」

手を振ってこっちに走ってくる同じ制服。

「祐樹」
「はよ!」
「おはよう」
克馬裕樹
中学の頃からの腐れ縁でバスケ馬鹿。


「ああー楽しみだなぁー!」
隣に並ぶや否や明るい声でそんなことを言う。

「何が?」
「転校生だよ!昨日担任が言ってただろ?女子!美人転校生!」
裕樹は呆れたように僕の肩に手を回した。

「美人なの?」
「いや?知らん。見たことないし。でもさ、転校生って言ったら美人だろ!」
「なにそのファンタジー思考。漫画の読みすぎだよ」
「ったくー夢くらい見させろよー」
ちょっと、いや、だいぶ楽観的なやつ。

騒がしい裕樹と並んで僕は校門を潜った。


バカみたいなことを言いあえる友達がいて、転校生一人で大騒ぎできる僕の人生。
『普通』で一般的な僕の、人生。