先生たちが出て行って、ひたすら重苦しい教室。
その沈黙を破り、ガタンと片桐が席を立った。
「…このままじゃきっと今夜もメッセージが来る」
みんなの目が片桐に集まる。
「何か対策を考えよう」
さすが我らが学級委員長。
あ、でも先に今日の梅原を…
「まず、あの内容はおそらく俺達が夜に返信している内容から選ばれてると思うんだ」
考察が始まってしまった。
…まぁそれはそうだろうね。
そうじゃなかったからあの返信の意味がないし。
「だから…みんな。これから送る内容を少し考えてくれ」
何人かは頷いた。
しかし
「あのさ、バカじゃないの?少し考えろ?今更?
もう何人も死んでんだよ?そんな軽い話じゃないでしょ?」
立ち上がって大声で話し出したのは中村美柑。
「私たちが軽い気持ちで選んだ言葉で野々村は死んだのよ!今から何したって野々村は帰ってこないの!」
癇癪を起こして怒鳴る。中谷と多田達の名前も入れてあげてよ。
多分中村は野々村のことが好きだったんだろうな。
僕にでも分かるくらいあからさまだったし。
昨日なんて魂が抜けたみたいになってたし。
「こんな馬鹿みたいなメッセージで死んだのよ!野々村はぁ!う…」
ボロボロと涙を流し始める。
勘弁してほしい。既に死んだ人間よりこれからその可能性がある生きている人間のことを優先して考えるのは当然じゃないか。
悲劇のヒロインごっこなら一人でやってくれよ。
「誰?…あんな内容にしたやつは誰よ!!」
あんな内容って保健室で逆立ちのこと?
自分だって笑ってたじゃん。
「出てきてなさいよ!!殺してやる!」
癇癪を起こして泣きながら暴れている。
「落ち着いて蜜柑」
牧村が止めようとするが聞くまでもない。
その時
「中村蜜柑」
そう声をかけて中村の肩を叩いたのは柿田玲子だった。
長い髪をこんな日でもちゃんとセットしている。
「あなたが取り乱す気持ちもわかる。でもそんな感情任せで騒ぎ立てたところで何も解決しないわ。
これ以上野々村くんのような人を増やさないために今できることを探しましょう。
きっと野々村くんもそれを望んでいるわ」
にっこりと笑う。
誰でも言えそうなそれっぽい言葉。なんだか反吐が出そうだ。
でも中村は落ち着いたようでゆっくりと頷いた。
なんなんだこの茶番。馬鹿馬鹿しい。
黙って片桐の話を聞いておけばいいのに。激しく時間の無駄。
単純な人間は羨ましいよ。
落ち着いた中村を見て、柿田は満足そうな表情をしていた。

