先生が学年主任を呼びに出て行き、静まり返った教室。
その沈黙を破り、学級委員の時川が口を開いた。
「返信したよね…きっと」
中谷と檜山…
「消息を…確認したほうがいい」
絞り出したような声で片桐が言った。
時川が中谷に連絡しようと携帯を開いた時だった。
ピロン!ピロン!
教室中に鳴り響く通知音。
時川が息を飲む。
柿田が恐怖に目を瞑る。
「もういや…」
超田が携帯をごとんと落として頭を抱える。
片桐が下唇をグッと噛む。
そして沈黙。
恐る恐るスマホに目を落とし始めるクラスメイト。
その様子を見て、僕もスマホを取り出し画面を開く。
ーー
本日の内容。
実行してください。
『今日
学校で
梅原七菜香が
殴った』
ーー
みんなの目線が梅原に集まる。
画面を見ていた梅原が青ざめていくのがわかる。
誰も言葉を発しようとしない。
殴る…か。
今日ってことは今日中なら時間制限がないってことでいいんだよね。
実行不可能というわけでは無さそうだけど…
「梅原」
片桐が声をかけようとした時
ガラッ
担任が戻ってきた。
学年主任と校長も一緒だ。
震えていたクラスメイトもとりあえず席に座らされ、相変わらず梅原の表情は青いまま、重苦しい声で先生が話を切り出した。
「みんなに言っておかなきゃならないことがある。
こんな状態でさらに追い討ちをかけるわけではないが心して聞いてくれ」
今更なにを心しろと。
目の前でクラスメートが死んでんだよ。
「野々村と…」
その名前にクラスの空気がさらに冷たくなる。
「野々村と…中谷が亡くなった。今朝確認した」
ざわっとする教室。
誰かの嗚咽が響く。
中谷…そうか。
返信しなかったのか。
彼女はいつも不安げで静かなイメージだった。
死ぬ可能性があったとしても、返信できなかったんだろう…
そして檜山はわからない…ってことか。

