教室の前にあるのは赤い水たまり。
そして気味の悪い白い肌の、野々村…だったもの。
メッセージが来て死んだ。
血吐いて死んだ。
もがいて動かなくなった。
鉄の生臭い匂いと異様な空気。
ざわつく教室の外と不自然な沈黙。
それを遮ったのは…
「先生」
僕だった。
「先生、野々村は?」
「え…あ…の、野々村?」
先生の声はガッタガタに震えていた。
近づこうとはせず、腰を抜かしたまま小さな声を出す。
「お、おい…野々村?」
先生の声にピクリとも反応を見せない野々村。
まあ見ればわかるけど
「死んだん…ですか?」
僕のその言葉をきっかけにクラス中が再び悲鳴合唱に包まれた。
みんなが正気を取り戻し、席を立って教室から逃げるように駆け出していく。
腰を抜かし動けなくなりながらも何とか逃げようとするものもいる。
もちろん誰も野々村に近づこうとしない。
「とりあえず…全員…きょ、教室から出な、さい」
恐怖に呑まれガチガチに震えた先生の声。こんな状況で僕らに指示を飛ばせるなんて先生すごいよ。
動けず残っていた生徒もよろよろと歩き出す。
騒動を聞きつけた他のクラスの先生達がやってきたものの、悲惨な光景を見て腰を抜かしたり、叫んだり、トイレに駆け込む先生もいた。大人といえどこんな光景初めてだろうからね。
重い足を引き摺るようにクラスメイトが教室から出ていく。
「ひ、ひかる…さん」
久遠さんがカチカチと震えて歯を鳴らしている。
白い肌がさらに白くなっている。
でもまあ…あの野々村を見てしまえば、このくらいなら白いうちに入らないか。
「行こう」
冷え切った久遠さんを立たせる。
フラフラしながらクラスメイトの最後尾に着いて扉へ向かう。
僕はその背中を少し押してやり、足を止めて野々村の死骸を振り向く。
…やばすぎ
みんな血で染まった前の扉を避けて後ろの扉に集結していたので少し渋滞していたが、だんだんと教室が空になっていく。
ここに取り残されるのは嫌だ。僕も行こう。
再び背を向け、教室を出ようとした。

