「あ……が……かっかはっ」
教卓の前。
苦しそうに喉をかきむしる野々村。
口から赤い液体がドバドバと流れ出ている。
目や鼻からも、赤黒い汁がぼとぼとこぼれ落ち、広がる鉄臭さがつんと鼻を刺す。
野々村は度々白目になりながらパチパチと不定期に瞬きをして痙攣を起こす。
溢れかえる濁った血を震える手で無意味に捉えようとする。
ごぽっと自分の血に溺れるように…だんだんと顔色を白く染め、膝をついて地面に崩れ落ちる。
「あ……が」
野々村のもがく動きが鈍くなっていく。
目がグルンと上を向き、血走っていく。
喉元を掻きむしった爪の跡が痛々しくついている。
そして…
バタン
白目をむいた野々村がうつ伏せに倒れた。
…動かなくなった。
瞬間
教室中が悲鳴に包まれた。
みんなの顔が恐怖に染まりだす。
僕も血の気が引き、力無く椅子にもたれかかる。
さっきまでケラケラ笑っていた檜山と杉山は椅子から転げ落ち、分かりやすく顔色が青くなっていく。
耳に突き刺さるような甲高い悲鳴を上げ続けているのは越田や三谷、女子たち。
方針状態で固まっていたと思ったらボロボロと涙を流し始め、野々村の名前を叫んでいるのは中村。
気の強い大本や渡辺も唖然としていて動かない。
普段は表情一つ変えない枕崎や柳谷や山野も流石に目を見開いている。
久遠さんはカタカタと震えている。
東坡も持っていたペンを落として固まっている。
野々村と仲のいい宇佐美翔はピクリとも動かない。
口をカクカクさせている。
面白いくらい鳩が豆鉄砲を食ったような表情をしている柿田と花里。
それから
恐怖に慄くクラスメイトたち。
戦慄が走る教室。
先生も激しく後退りして、腰を抜かす。
ほとんどの人がただ一点を凝視している。
血に溺れるようにもがき苦しみ、そして果てたクラスメイトを…
なんで…こうなったんだ?
何が起こったんだ?

