「ひかるーお前絶対本気でやってなかったろ」
「そんなことないよ」
体育終わり、教室への廊下を祐樹と歩いていた。
「思ったんだけど、中学から一緒なのに俺ひかるの本気って見たことない気がする」
そんなことないだろ。
「なんか常に一歩引いてる」
「そんなことないよ」
「なんだよー無気力キャラがモテると思ってんのかー?」
「はぁ?」
それは漫画の世界でしょ。
リアルにモテるのはキャラ関係なくスペックの高い奴。枕崎みたいな。
「このやろー!顔が良いからって!」
祐樹が笑いながら僕の髪をぐしゃぐしゃっとする。
「わーやめろよ」
「ははっボサボサ」
ええおかげさまで。
「一回でいいから見てみたい」
「だからそんなことないって」
そんな会話をしているうちに教室に着いた。
多分男子の中では最初に出てきたし、女子はまだかかるだろうから1番乗りだ。
ガラ
祐樹が教室の扉を開けた。
「え」
「あ」
誰もいないはずの教室。
窓際、僕の列の一番後ろ。
だらしなく制服を着て黒いピアスを片耳につけた男が足を組んで座っている。
東坡純だ。
久しぶりに見た。
数日に一回くらい学校に来る。
来たとしても何もしないかたまに喧嘩してるだけだけど。
祐樹の体が確実に固まったのがわかった。
「久しぶり東坡、元気だった?」
「あーひかるか。おぅ」
「ええ!?」
軽く挨拶をしたら祐樹が飛び上がって驚いた。
「え、いや、あ?え?」
「珍しいね。こんな早くから来るなんて」
早いって言ってもしっかり遅刻。
でもいつもは午後からとかだから一限終わりに来るのは早い方だ。
「退屈凌ぎ」
退屈凌ぎか。
すると僕の袖をグイグイと引っ張って祐樹が廊下に下がっていく。
「なに?」
「何じゃないって!お前東坡と普通に話せんの?」
小声で焦ったように言われる。
「普通?ふつう…うん、まあ」
「はぁぁ?俺たまにお前がおっかなくなるわ」
なんでだよ。
「だって同中じゃん。祐樹もだろ?」
「そうだけど…でも中学からやばい噂聞くし、関わった奴碌な目にあってないだろ」
「そうだっけ?」
「…まあ気をつけろよ、普通のやつじゃないんだからな」
普通ねぇ
「うーん」

