翌日


いつもの朝
いつもの道
いつも通り祐樹と並んで通学路を歩く。

「昨日も来たな」
「うん」
「ひかるは内容なんだった?」
「いつ」
「俺は『誰が』」

みんな昨日とは違う内容なのか。
「なんなんだろう」
「まー危害があるわけじゃないし、気にすることないんじゃない?」
祐樹がニッと笑って言った。
「そう…だね」



教室は昨日と同じくメールの話題で盛り上がっていた。

「私いつだったー!」
「俺はどこで!」
「俺も!」
よしきがまた輪の中心にいる。

中村蜜柑が男子の輪に入ってくすくす笑っている。彼女はちょっと目つきと性格のきつい女子生徒。女友達より男友達の方が多いらしい…自称。

「てか今日も来るのかな」
「朝バージョン?」
気楽だなぁ。
本当に気にするだけ無駄かもしれない。


「おはようございます。ひかるさん」
「おはよー久遠さん」
お、今日の久遠さんは髪を結んでいる。
体育あるしね?
「またメッセージの話ですか?みなさん」
「そんなとこー」

昨日と同じ朝を眺めていると山野が来てクールに過ぎ去り、柳谷が来てクールに過ぎ去るという見慣れたワンクールが過ぎた。



そして8:00きっかり。


ピロン!ピロン!
ピロン!ピロン!


一斉に鳴り響く通知音。
「来たー!」
「うおー!」
盛り上がるクラスメイト。

ま、僕も気になるわけですが…
スマホを開く。


ーー


本日の内容。
実行してください。

『正午
保健室で
野々村圭が
逆立ちした』


ーー


瞬間。クラス中がどっと笑いに包まれた。
「だってよ野々村!」
「保健室なんてやーらしー」
何がだよ。
「おいマジかよー」

野々村圭
野々村は確かサッカー部のエースだ。
あんまり話したことはないけど女癖が悪いとの評判。だが言われるだけあってかなりの美形。
そんな性格だと知っていながら彼女になりたがる子はかなりいる。
そんなモテ男の彼が保健室で逆立ち。
注目の的となるのは当然だろう。


「おいおい野々村ぁーお前これはやらないとなー?」
「もうクラス中そんな雰囲気だよー?」

杉山と一緒にそう茶化しているのは檜山健司。
同じくサッカー部でモテる野々村をよく茶化している。杉山と檜山は大体セットで、いつも2人揃って誰彼構わず絡んでいる。
祐樹や僕ともよく話す。明るい奴らだ。

「まー別に逆立ちくらいいいけど。てか正午ってまだ4限じゃん」
「昼休み昼休み!動画撮ってやるからさ!」
「拡散すんなよー」
「保証しませーん」