前のめりに倒れるとナイフがより刺さってしまう。
東坡の手が山野の腰を支え、うつ伏せに倒れるのを阻止した。
そしてゆっくり仰向けに寝かせる。
「……っ…くそ……クソッ……」
「……やまの…さっ…ぅ」
残り、4人。
「あらー山野美波ここまでかぁ。意外だなぁ。ひかるくんの次の生き残り候補だったのに」
教室の入り口からそんな声がした。
「…成川」
「ありがとう死んでくれて。おかげで僕も助かったよー」
…やっぱりお前は僕らと同じなんだな。
ありがとう山野。おかげで確信に変わった。
僕は勝てる。
「……成川…お前は…死んだほうがいい」
東坡が低い声を出す。
「東坡抑えろ。突っかかっても無意味だ」
「…分かってる…でも、俺は怒りを抑えられるようなタチじゃない」
「……」
「どうせもうじき俺は死ぬ。頼むひかる…足掻かせてくれ」
……。
「……祐樹に続いて…東坡まで死ぬのか」
「…克馬が死んだのは、お前に命をかける価値があったからだ。俺も同じだ」
「……」
東坡のこと…割と好きだったんだけどな。
付き合い長いし、気を使わない良い友達だった…
できれば…死んでほしくはなかった。
「……ん。好きにしなよ」
ため息混じりで言った。
「…サンキュひかる」
「東坡さん……」
「久遠。ひかるのこと頼むぞ」
「………はい」
「山野、借りるぞ」
東坡は山野の胸に突き刺さったナイフを抜いた。
そして腕をまくり、成川の前に向かっていく。
その背中はとても逞しく見えた。
「わー怖い。学校イチの不良がお相手だぁ」
成川は肩をすくめてポケットから大きめのナイフを出した。
…この時間に取りに行ってたのか。
成川は想像をはるかに超える強さだ。
流石の東坡でも、怪我をしている万全の状態でない今は…勝てないかもしれない。
いや……勝てないだろうな。
冷静さと体力を失っている東坡と…吹っ切れて万全な状態の成川。
勝たなくても良いよ東坡。
そいつを殺すのは僕の役目だから。できれば奪わないでね。
「お前を殺すまで俺は死ねない」
「僕だってひかるくんを殺すまでは死ねないんでね。モブキャラに構ってる時間はないんだ」
「くたばれクソ野郎」
「死ねよモブ野郎」
東坡がナイフを振り上げた。同時に成川がナイフを突き出す。
2人の刃がガチンとぶつかった。

