あいつ…
これを僕らが実行しなければ成川だって死ぬかもしれないのに…僕らに実行させるつもりか。
だから指定の教室を出た。
誰かが
…3分
どうする…
いっそみんなで死ぬか?
いや…それは困る。
こんな終わり方じゃダメだ。
それに成川が死ぬという確証もない…
「ガハッ…これ…」
山野がスマホを見て目を開く。
「…あの野郎…っ」
東坡が山野を抱えたまま同じ画面を見て歯を食いしばる。
「…うぅ…っ」
久遠さんは机で頭をぶつけて血を流している。
涙を拭いながらスマホを握りしめる。
「……まずいな…」
このメッセージを送れば僕らが成川に構うことをやめると分かっていたんだろう…
これじゃあいつの思い通りだ…
成川に勝つためには、柳谷の助言通り成川と対峙する必要がある。
このメッセージを実行しないと…次には進めない。
「…俺がやる」
!
「東坡」
「どうせ俺はもう長くない……血を流しすぎた。すまん山野…せっかく止血してくれたのに、動いたせいで傷が開いた」
「……東坡…」
「ありがたいことに手元にあいつのナイフもある。俺がやる……いいだろ、ひかる」
…。
この状況で東坡を失うのはでかい…
だが……もう悩む時間がない。
「…東坡さん…そのナイフ、私にください」
久遠さん…
「私がやります。東坡さんはひかるさんを守れる人…こんなところで死なれては困ります。山野さん、もう一度東坡さんの止血をしてください」
「……久遠愛菜」
「ひかるさん」
久遠さんが血と涙で汚れた、それでも綺麗な顔を僕に向ける。
「お願いします。やらせてください」
……
「私だってあなたを守れる。あなたのために命をかけたい。だって…私はひかるさんが大好きだから」
「…久遠さん」
「もう時間がないです。東坡さん、ナイフを」
東坡はこれ以上ないほど歯を食い縛り、ナイフを見つめる。
そのナイフを山野が取った。
そして久遠さんに近づく。
「山野さん……お友達になってくれてありがとう」
「……」
「ナイフをください」
久遠さんが手を伸ばす。
……しかし、山野は渡さない。
「山野さん?時間がないです、早く」
「久遠愛菜。あんたが死ぬのはここじゃない」
「…え」
……山野…
ごめん、山野。
君がやろうとしていることを…僕はもう止められない。
「私は…私が思う正しい選択をする。枕崎の言った通り」
「山野…」
力無く、その名前を呼ぶ。
「大丈夫。枕崎にところに行くだけ。あいつ待ってるらしいから」
山野はナイフの刃先を自分の胸に向けた。
そして大きく振りかぶる。
「やめろっ山野!!」
東坡が叫んだ。
深く…山野の胸に…ナイフが刺さる。
嫌な音が聞こえるかと思ったが…驚くほど静かだった。
山野は…どこを刺せば一発で死ねるか、知っていたようだった。
「いや………山野さんッ!!!」
久遠さんの甲高い叫び声。
その場に膝から崩れ落ちる山野。
その目が…僕を捉える。
「……こんなクソゲームに…負けないで」

