いつどこで誰が何をした



成川が声を上げて笑う。
「あと2分…ひかるくん!かっこよく死んでくれよ!」

……考えろ。
上手く切り抜けられる方法を…
成川に…勝つ方法を…



「ひかる!」

その時、太い声で僕を呼んだのは
「柳谷…?」

柳谷だった。

「よく聞け。頭脳明晰な俺様から最後の助言だ」
ニッと口角を上げる柳谷。
最後?…まさか……


「使われたMo153は全部で33個。34人のうち、注射を受けず免れた1人は成川ではない人間。
つまり、成川にもMo153は入ってる」

それは僕が教えた情報だろ?
そんなこと知ってるけど…何を……

「ここまで言えばお前ならわかるだろ。成川に勝つ方法はある」


……Mo153
思い込みプログラム…
プレイヤー…

っ!


「そうか…僕らと同じ…」
「ああ、俺が今やろうとしていることと同じことが成川にもできる」
柳谷は自分のスマホを取り出した。

…身代わり制度…
成川も…身代わり制度が使える…

「片桐がやったこと…覚えてるよな」
「……なるほど」

さすが柳谷だよ…
本当に…君はすごいね。
ありがとう。おかげで勝てそうだ。

「なにー?」
成川が首を傾げている。
お前が犯人で助かるよバーカ。


「あとは頼んだぞ。俺はお役御免、ここまでだ」
「…柳谷」

「ひかる、俺はお前を心底怖いと思う時がある。どれだけ頭を使っても…お前の考えだけは読み取れない」


ピロン!



ーー


身代わり制度が使用されました。
内容が変更されます。
実行してください。

『今
 教室で
 柳谷大斗が
 泳いだ』


ーー



「でも…俺達のグループのリーダーとして前に立つお前は、心底かっこいいと思った」
「……」
「成川に勝ってさえくれれば、あとはお前の好きなように生きろ。他人の目なんて気にするな。『普通』かどうかもどうでもいい」
「…うん」


「人間、上手く生きていくためには自分の道を凸凹に曲がりくねらせる必要がある。周りに馴染むために。それができず直線で生きるお前みたいな人間は、世間から見たらヤバい奴かもしれない。だけど…直線で生きられる奴は……かっこいいんだ」

柳谷がピクッと身体をこわばらせた。
地面に膝をつき、胸を抑える。

「俺……案外……お前のこと…好きだったぜ」
「……柳谷もめちゃくちゃかっこいいよ」
「……はは……」


爽やかに笑う。
そして……そのままうつ伏せにゆっくり倒れた。


……ありがとう。
僕らの優秀な頭脳。