「ひかる!どうするつもりだ!どうやってこの状況で勝つんだ!」
柳谷が久遠さんの前に立って言う。
「今考えてる」
何か…何か方法があるはずだ。
正直…起動装置の威力を舐めてた。
まさかボタンひとつで殺せる上に、この状況で『いつどこで誰が何をした』のメッセージを送信できるなんて…
ちょっと想定外だぞ、考えろ。
見つけるんだ、成川の弱点を…
「必ず勝つって大口叩いてた割には何もできてないねぇひかるくん」
成川が乾いた声で笑う。
「考える時間なんてないよ?君は間も無く死ぬ」
「ひかるさん!」
久遠さんが叫ぶ。
「黙って」
「…ひかるさん」
目立つな。
僕以外の人間は目立ったらダメだ。成川に殺される。みんなにはMo153が効くんだから…
「もう終わりにしよう、ひかるくん。どう足掻いても僕には勝てないんだよ」
ピロン!
くそが。
今は聞きたくない通知音。
ーー
本日の内容。
実行してください。
『今
教室で
新田ひかるが
泳いだ』
ーー
……。
「1日1つじゃなくていいわけ?もうルールめちゃくちゃだね」
「クソゲーなんでしょ?ご都合ゲームって言ってたじゃん。だったらそれらしく理不尽を極めてあげる」
ああ、そうだ。
これは『いつどこで誰が何をした』
そんな単調なゲームを無理矢理デスゲームにした、愚かでくだらないクソゲーだ。
「結局僕らの選んだ言葉で文を成していたのは事実なわけ?」
「もちろんだよ。前半はみんなが慎重に言葉を選んでいたから過激にするのが難しかった。
でもね…後半に進むにつれ、だんだん危険な言葉が増えていったんだ。ゲームを楽しんでる人間は確かにいた。この僕以外にもね。そして…ひかるくん以外にも」
ああそう…
「さあもうすぐ時間だよ。さっきは柿田玲子に邪魔されたけど、もう大人しく死んでくれそうだね。諦めたの?遺言は?」
諦めるわけないだろ。
でも…確かにあまり良い状況ではないな…
どうする…
起動装置を奪えれば…
「ひ、かる…」
東坡がお腹を抑えながら僕を見る。
「ひかる…あっさり死んだら…許さねぇぞ」
「わかってる。東坡は大人しくしてろ」
…。
「ひかるさん…」
久遠さんが自分のスマホを取り出す。
「柳谷!久遠さんに身代わり制度を使わせるな!」
「……でも」
「柳谷!」
「…っ、くそ」
柳谷が舌打ちをして久遠さんのスマホを奪う。
「返してください!このままじゃひかるさんがっ」
「……ひかる」

