いつどこで誰が何をした



「………」
はは、言い淀んじゃってまあ。
「どう?君の選んだ主人公はちゃんと活躍したかな?」
同じようにニコリと笑い、僕より背の低い成川の顔の前で首を傾げる。


「……はは、大活躍だよひかるくん。でも残念ながら主人公は一人じゃない。確かに君はプレイヤーの中では主人公に相応しい人だった。でも僕の物語の主人公はやっぱりこの僕なんだ」
ういーイタイイタイ。

「君は僕にとってのラスボス。君を殺すことで物語は終結する」
「じゃあお前は僕らにとってのラスボス。お前を殺すことで僕らの物語はめでたしだね」

「………」
「………」

成川が光のない目で僕を見る。
僕は反対に目がキラキラしているかもしれない。
だってすごくワクワクしてる。
こんな危機的状況…胸が躍るよ成川。


「言うなれば……」
静かに口を開いた成川が黒い機械を顔の前に持ってくる。
「君が死なない限り…このゲームは終わらないんだよ、ひかるくん」
ニヤリと笑って指をかざす成川。

どうぞ。
好きなようにやってみなよ。
僕、死なないから。


ピロン!


8時……通知音。
僕は左手でずっと持っていたスマホをすぐに見る。



ーー


本日の内容。
実行してください。

『今
教室で
新田ひかるが
飛び降りた』


ーー



みんなの顔色が変わる。
「ひかる!」
「ひかるさん!」
東坡と久遠さんが同時に叫んだ。

「猶予は3分だ!どうするひかるくん!飛び降りる?今から山野美波の時みたいな準備はできない!流石に死ぬんじゃない?」
ケラケラと笑いだす成川。

「…成川……」
お前は本当に気持ち悪いな。


ピロン!


と、続けて通知音が鳴った。
成川がやったわけではなさそうだ。
その音に首を傾げた成川。



ーー


身代わり制度が使用されました。
内容が変更されます。
実行してください。

『今
 教室で
 柿田玲子が
 飛び降りた』


ーー



っ!
「柿田!」
パッと隅の席に座る柿田を見た。
右手でスマホを、左手で…僕があげたハンカチを握っている。


「…生き延びなさいよ…ひかるくん。誠が信じたあなたを…私も信じてあげるから。そいつを殺して、地獄に送って!!あなたにしかできないんだから!この私が命をかけて守るのよ!死んだら許さないから!絶対に…絶対に!!」

そう叫んで自分のスマホを成川に向かって投げつけた。成川はひょいと避け、スマホは惨めに後ろの壁にぶつかる。
柿田は歯を食いしばり、そのまま窓に向かって走り出す。


「柿田!」


ガシャン!
という窓の割れる音。
そしてそのまま柿田は窓から姿を消した。