いつどこで誰が何をした



「10月29日。僕の中で成川が犯人だと分かったのはこの日。秋沢と辻原が死んだ日だよ」

僕の回答にみんなが息を呑んだ。
成川も目を見開く。


「…ひかる……なんで言わなかったんだ」
東坡が消えそうな声を出す。
「ひかるだから…だよ。東坡」
僕の代わりに柳谷が答えた。

その返答は答えになってないし、頭脳派の柳谷が言うにはあまりにも理論性のない言葉だ。
だが、それ以上でも以下でもない。
僕の立場が枕崎や柳谷だったら多分あの時点でゲームは終わっていた。
でも……

「…ひかるだから」

僕だから。だから言わなかった。
それだけ。



「あの日、放課後僕達は教室に残ってた。出席番号がズレてるって話をして、そしたら成川が来て、入学を辞めた子がいるって話してくれたよね。清瀬奈加のこと」
「そうだったね」
成川が頷く。

「その後だよ。成川、僕と一緒に帰っただろ?」
「うん」
「清瀬奈加がゲームに関係してるのかって僕に聞いたよね」
「うん」


「あの時、お前は失言したんだよ。
『彼女とこのゲームの繋がりなんて番号と精神的原因の病気くらいしかない』
確かに成川はそう言った」


「……」
成川はじっと僕を見る。
あれ、ここまで言っても自分でわからないわけ?
やっぱ馬鹿なん?


とその時、成川ではなく柳谷が息を呑んだ。
「精神的原因の病気…っ」

その通ーり。

「秋沢辻原が死んだ日の段階では、まだ成川に思い込みプログラムのことを話していないはず…」
柳谷が立ち上がって成川に言う。
「グループ分けをしてからMo153について共有した。つまりあの段階では成川は知らない…。それなのに精神的原因の病気という単語が出てくるのは…矛盾してる」
さすが柳谷。さすやな。


精神的原因の病気。
それはMo153を使って治そうとしていたもの。
僕達は清瀬奈加の存在については聞いたが、精神的原因の病気という単語がゲームに関わっているなんて一言も話していなかった。
それなのに成川はそう言った。それはつまり…既にMo153の存在を知っていたから。

久遠さん以外でそんな事を知っている人間がいたとしたら…それは間違いなく犯人だ。


「思ったよりしょぼい理由でしょ。これだけ大それたゲームをやっておいて、たかが一言の失言で崩れるなんて…がっかりだよ成川」
「……」
僕が煽るように目の前の成川を見ると、その特徴のない一重の目をピクッと動かした。