誰も下手に動けず、その場で怒りを堪える時間。
成川はクスクスと笑っている。
「成川」
僕が名前を呼ぶといつも通りの顔でこちらを見る。
「お前が犯人なんだな」
分かりきってる事を意味もなく確認する。
「いかにもー。いやー楽しかった!ひかるくんのおかげだよ。君を主人公にして正解だった!君なら僕の期待を超えてくれると思ってた!案の定、はるかに超えて来てくれた!
他人の死に狼狽えることなく…自分が指名された時は難なくこなし、親友は身代わり制度を使って君を助けた!シナリオ通り!感動的だ!素晴らしい物語!」
…。
「僕は期待外れだったよ、成川」
眉を顰めて成川を見る。
「あまりにもクソゲーだった」
「あはは!それは確かにね。やっぱり『いつどこで誰が何をした』をベースにしたのは無理があったなぁ。でもみんなにも参加して欲しかったからさぁ。自分達の選んだ何気ない言葉で自らを追い込むって残酷だろ?未知の力に対し、生きるために足掻く姿は何よりドラマチックだった!僕はそれを見たかった!」
それがゲームを始めた理由か?
糞みたいな動機だな。
成川はニヤニヤ笑いながら僕の目の前にスキップしてくる。
そして僕の顔をまじまじと見て、僕の黒い癖毛に触れた。
「ひかるくん…教えてくれる?どうして僕が犯人だとわかったの?君が僕の正体に気づいたのは最近じゃないよね。昨日トイレで会った時はしらばっくれてたけど」
…ああ。
もっと前の段階で知っていたよ。
お前は詰めが甘いんだよ成川。
「……久遠さん、教えてあげたら?」
昨日見た名前を。
「……ええ、喜んで」
成川が首を傾げて久遠さんを見る。

