「うぐっ……」
カランとナイフが落ちる音が階段に響いた。
胸を押さえて膝から崩れ落ちる宇佐美。
ガハッと口から血を吐く。…野々村と同じように。
後ろで花里達が息を呑む音が聞こえた。
いやー助かった。馬鹿でいてくれたおかげだ。
僕の挑発に乗り、状況を判断する冷静さを失った宇佐美の負けだ。
ちゃんと勝負してたら丸腰の僕は確実に負けてたからね。
「ひ……か…おま…なにを…」
「僕は何もしてないよ。宇佐美が自分で言ったんだ。入力内容を」
入力内容を公開したら死ぬ。
そのルールを忘れてたんだろ。
僕の挑発で頭に血が上ったせいで、そんな誰もが知ってるルールを忘れたんだ。
「僕が宇佐美の名前を毎回入れてるっていうのはハッタリだよ、ばーか」
「……ひか……る……」
僕はもう死ぬ宇佐美に背を向けた。
花里達が目を丸くしている。
「真っ向勝負じゃ勝てなかったんだ。仕方ない」
「……ひかるくん…」
柿田と渡辺が青ざめていく。
柳谷はジトっと僕を見てため息をついた。
「東坡達と合流しよう。成川の容態を確認しないと…」
そう言って、足をひとつ進めた時だった。
「ひかるくんッ!!!」
叫び声。それと同時にこちらに向かって突っ込んでくる…花里。
僕は花里の体当たりによって思い切り横に突き飛ばされた。
何が何だかわからないまま、壁に激しくぶつかる。
…その視線の先に
口から血を流しながら目をかっ開き、ナイフを突き出した宇佐美が見えた。
僕のいた場所に向かって…一直線に…
そして…今、その場にいるのは…僕ではなく…
「誠っ!!」
柿田の叫び声。
宇佐美のナイフが…花里の胸を…
突き刺した。

