宇佐美を更生させることはできなさそうだ。
だったら…正当防衛として、このくらいは許してもらおう。
「宇佐美。今日指名されたんだろ?それ、多分僕のせいだわ」
「…あ?」
「僕ねぇ毎夜のメッセージで『誰が』に当たった時は、お前の名前を入れてるんだ」
「……は?」
「お前は僕にとってどうでもいい人間だから。死んだって痛くも痒くもない」
「………」
宇佐美の顔が憎悪に満ちていく。
うい〜恐ろしい顔。
「……ひかる…お前…」
「野々村のことも残念だったね。お友達だったのに呆気なく死んじゃって。見事な死に様だったよ、劇的で。感動しちゃった」
「………」
「犯人を殺すために誰彼構わずナイフを振り回すなんて苦労なことするよね。もっと簡単に勝てる方法はいくらでもあるのに。あーごめん、宇佐美はそんな頭回らないか。枕崎の足元にも及ばないもんね」
「………お前…殺されたいのか…」
宇佐美の額に血管が浮き出る。
よし、いいぞ。あと少し…
僕がやろうとしていたことの一つはクリアした。もう一つだ…
「それから、山野美波のことだけど」
「っ」
「あは、その反応…やっぱそうだった?宇佐美って山野のこと好きだったよね?よく見てるなぁって思ってたんだよ」
これはハッタリのつもりだったけど…まさかのビンゴか。山野が指名された日に宇佐美が名乗り出た理由が分かった。
ほらね、だから山野は役に立つと思ったんだ。死ななくてよかった。
「残念だけど山野は枕崎とラブラブだから諦めた方がいいよ。今日なんて脇目も降らずにチューしてたし。美男美女だよねーお似合いだ」
おそらく宇佐美は枕崎が嫌い。そして山野が好き。
この感情は確実に利用できる。
人間観察しておいてよかった。
プルプルとナイフを持った手を震えさせる。
よし、ここまでこれば…
あとは…上手く乗ってくれよ、宇佐美。
「…お前だけは…絶対にこの手で殺してやる」
「何言ってんだよ。これはそういうゲームだろ?お互いに蹴落とし合うことで次のステージに進めるRPG。そしてついでに嫌いな奴まで殺せる特典付き」
「……嫌いな…奴…」
「…そうそうさっき枕崎の話したけど…今朝枕崎が死んだんだよ」
「…!」
「指名されちゃってさ。枕崎なんて優秀な人間の名前を入れるやつは今までいなかったんだろうけど…ここまで来たらそんなこと言っていられないもんね。犯人は喜んで枕崎を指名したんだろうね」
……。
「宇佐美さぁ枕崎嫌いでしょ。枕崎の名前…入れたんだろ?」
「……はっ当然だろ」
……。
「犯人を探すためにはあいつが指名されることは避けた方がいいと思ってたけど…ここまで来ても犯人がわからないんじゃ使えない。だから心の底から死ねと思って枕崎の名前を入れたよ」
「…そっか」
「次はお前だひかる。だが感謝しろ。犯人ではなく俺の手で殺してやるから」
「わー怖い」
……勝った。
さよなら、宇佐美。

