いつどこで誰が何をした



「ねぇ新田。犯人が誰か予想ついてる?」
渡辺が僕の隣に並んで聞いた。
「え、なんで」
「ここまでこれば枕崎や柳谷のいるあんた達のグループならある程度は予想ついてるんじゃないの?」

チラリと柳谷を見る。
「…まあ、ある程度はね」
僕の代わりに柳谷が答えた。
「誰?教えて」
「いや…それは…」
「教えてよ。私は犯人って思ってる奴がいる。答え合わせがしたい」
渡辺が予想してるやつか…


柳谷が僕を見る。
「…誰だと思う?柳谷」
白々しく聞く。柳谷は僕の質問に片方の眉毛をあげた。
「……先に渡辺の想像してる人を教えてくれないか」
小さくため息をついて僕から渡辺に視線を移す。

「都合の悪い時だけレディファーストなわけ?まあいいけど」
渡辺は少し考えてから再び口を開く。

「…小塚満」

そして1人の名前を呟いた。
花里がチラリと振り返る。僕を見て、再び視線を前に戻した。


小塚満。
ふくよかな体型で人と馴れ合わない、決して誰かに好かれるタイプではないクラスメイト。


「何故」
柳谷が感情のない声で言う。
「…あいつ、頭がおかしいのよ。聞いたかもしれないけど、一昨日私たちのグループに来たメッセージは『誰かが笑った』っていう個人の指名がない内容だった」
ああ。
「あの時、佐滝と葉月が死んでから時間ギリギリにクリアのメッセージが来た。玲子や横澤は誰が笑ったのかわからないって言ってたけど…私はあの時、心から笑っていた人を見た」

「それが小塚ってこと?」
僕の問いに頷く渡辺。
「そう、小塚はニタニタ気色悪い笑みを浮かべてた。佐滝と葉月の死体を見て…」
「……」
柳谷が視線を落とす。

「今日宇佐美が指名されて、横澤や椎奈を刺し殺した時も同じように笑ってた。いや…もっと酷い笑い方をしてた。小さかったけど声を出して笑った。私は近くにいたからその声が聞こえたの」
笑った…
「…あいつ、このゲームを楽しんでる。人が死ぬたびに満足そうな顔をする。絶対犯人よ」
なるほどね。


「そっちの番よ。誰が犯人だと思ってるの?」
渡辺が柳谷を見る。
「……正直、1人には絞れていない。でも、確かに小塚は俺が予想する犯人候補の中にいる」
ほお。

「小塚は…大本を筆頭に、このクラスの連中にいじめとも捉えられる嫌がらせを受けていた。復讐を考えると、このゲームを始める動機は充分にある」
うん。
「僕も小塚がここまで一度も指名されていないのは少し不思議に思ってた」
平然と言うと、柳谷が眉間に皺を寄せて僕を見る。
「……ひかる、小塚が犯人なのか?」

……

「柳谷、僕は枕崎やお前ほど頭がいいわけじゃない。確かに犯人がわかってるとは言ったけど、あれはイェスノーでしか質問に答えられなかったからそう言っただけで、確信はないよ」
「…どうだか」
柳谷の鋭い視線と交わる。
嫌だなぁ僕を信用してないみたいな顔しちゃって。


「でも復讐のためにこのゲームを始めたのなら、いじめの主犯である大本をあんな早い段階で殺すかな」
そう口を挟んだのは花里だった。
「…うん、僕もそこは引っかかる。復讐だったら大本を殺すのはもっと溜めてからだと思う」
だから確信じゃない。