4人で校舎を練り歩く。
しかし人の気配はしない。4階にはいないか。
「三階に降りよう」
方向転換して階段に向かう。
「ねぇそっちのグループって…今何人残ってるの?」
後ろから渡辺が聞いた。
「7人」
「…え?梅原の後に2人死んだの?」
あーそうか。そういうシステムだったな。
昨日のメッセージで僕は檜山の番号にばつ印が付いていたことを確認できた。つまり祐樹が死んだのは、昨日そっちのグループの実行が終わってから。新しくメッセージが来ない限り、渡辺達は祐樹の死も枕崎の死も知り得ない。
クラスメイトが死んだことにすら気づけない状況か。皮肉なもんだな。
「祐樹と枕崎」
「え……」
渡辺が足を止めた。
「ん?早く行くよ」
渡辺が眉間に皺を寄せて僕を見ている。
「…克馬と……枕崎も?」
「枕崎はついさっき。今朝までは生きてたんだけどね」
「……克馬は?」
「祐樹は昨日。身代わり制度を使った」
「……」
渡辺は僕を見る視線を泳がせる。
「…新田…平気なの?」
「え?」
「だって…克馬は…新田の……」
ああ…うん。
「親友だったね」
かつてはね。
もう、過去の話だけど。
「早く行こう。残りは12人。これ以上減られると困る」
僕が進むと先には行かせまいと花里も動き出す。
柳谷が渡辺を急かすように後ろから追い立てる。
祐樹の死を悲しむ時間は終わった。
いつまでも死を嘆いていてはダメだと、過去に僕は君らにそう言った本人だ。
だから今こうしている。宇佐美を止めなきゃ。
「…11人」
「え?」
渡辺が足を引き摺るように僕らに続きながら言った。
「残りは11人。杉山が死んでる」
杉山?
え、どうして?
「宇佐美に殺されたのか?」
柳谷が突っ込む。
「…違う、自殺。昨日檜山が死んだ時に自分で言ったの。俺は今日返信しないって」
はぁ…何やってんだよ馬鹿。
無駄に死ぬな。死ぬなら山野や祐樹みたいに誰かの代わりになろうとするとかさ、役に立てよ。
「元から限界は来てた。日に日にやつれていくし顔色も悪くなっていく一方で…そこで檜山が死んで、もうもたなかったのね」
あの2人仲良かったしな。
「檜山の内容は?」
「今、職員室で、檜山が、眠った」
今…か。
「こんな状況でたったの三分で寝られるわけがない。檜山は指名された時点で諦めてた」
…安全な言葉が選出されなくなってきた。
もう僕らの返信はほとんど意味がないのか?
それとも、誰かが意図的にそういう言葉を選んでいるのか?
枕崎の『勝った』も、僕の『飛び降りた』もそうだ。
難易度が高いことくらい考えなくてもわかる。
まあ、人のこと言えないけどね。僕も特に考えもせず思いついた言葉を片っ端から入れてるだけだし。

