階段を一段飛ばしで駆け上がる。
あの馬鹿宇佐美が無駄に殺す前になんとしてでも見つけないと…
これ以上人が減るのは困る。
山野が言った通り攻撃は最大の防御。こっちの弾数は減らない方がいい。
瀬尾、多田、野々村、中谷、大本、時川
立花、深川、秋沢、辻原、越田、中村、三谷、
梅原、片桐、佐滝、浜崎、檜山、よしき、牧村
…祐樹、枕崎
22人が死んだ。
残りは12人。うち犯人が1人。
11対1か。
「…かるくん…ひかるくんってば!」
わ
「あ、何?花里」
「考え事しながら走ってると危ないよ」
「ああごめん」
「階段落ちて死ぬなんてやめてよね」
それは嫌すぎる。
「ひかるくん、先頭変わってくれない?僕が一番前を走る」
「なんで」
「言ったでしょ?僕はひかるくんの盾になるって」
……
「わかった」
花里が僕を抜かす。
柳谷が後ろを走る。
「大将は守らないとな」
柳谷がボソリと言った。
「たとえひかるがゲームの続行を望んでいても…答えに辿り着いてる人間は貴重だから」
ああ、そんな話してたね。
「柳谷、僕の本音がどうであれ、勝利を目指しているのは本当だよ」
「それはわかってる。負け戦なんてするタチじゃないだろ」
「…当然」
ゲームは勝つから面白いんだ。
約束する。僕は必ず勝つ。僕はね。
4階まで階段を登りきる。
その時、ちょうど階段に向かって走ってきた人物と鉢合わせた。
花里がぶつかって落ちそうになるのを僕が止める。
「…渡辺?」
「はぁはぁ…花里?…新田、柳谷も…無事だったんだ」
ぶつかってきたのは渡辺華。激しく息を切らしている。
「宇佐美から逃げてるのか。事情は横澤に聞いた。あいつはどこだ」
柳谷が後ろから声を飛ばす。
「わからない…逃げてきた。私陸部だから宇佐美よりも足は早いの…あちこち逃げ回ってたからどこで巻いたかなんてわからない」
チッ…使えな。
「渡辺、1人で動くのは危険だ。俺らと一緒に動こう」
「はあ?あんたら宇佐美を探してるんでしょ?こっちは逃げてんのよ!わざわざ近づきたくないわよ」
「やたらめったら逃げ回っていたって鉢合わせる可能性が高くなるだけだ。俺らは男だ。多少ならやりあえる」
「戦えるわけ?向こうは何故かナイフ持ってんのよ」
「別に無理にとは言わないよ。1人で逃げ回りたいならどうぞ」
僕が淡々と言うと柳谷が背中をバシッと叩く。
「ひかる」
「だってそうだろ。宇佐美の情報を持ってないなら一緒にいたって意味がない」
「…」
「でも僕らも勝算もなしに宇佐美を探してるわけじゃないよ」
僕の言葉に花里がそうなの?と振り向く。
まあ飛び出してきたからね。勝算なんてなさそうだけど…ちゃんと僕は考えてることがあるよ。
「……」
渡辺は僕をじっと見る。
「……わかった。じゃあ一緒に行く。でも宇佐美と鉢合わせたら私は逃げるから」
「お好きにどうぞ」
花里、僕、柳谷、そして最後尾に渡辺が加わり、僕らはまた走り出した。
大丈夫。彼女は犯人じゃない。確かに情報は少ないが、渡辺は安全だ。

