「ひかる!!」
!
と、沈黙が破れる。
教室の扉がガラリと開き、青い顔をした東坡が現れた。
「どうしたの」
「来てくれ!大変なことになってる!」
柳谷と顔を見合わせ、教室を駆け出た。
柿田のグループが集まっているのは1年1組の教室。
東坡に続き中に入った瞬間…
ぶわりと、鉄のような血の匂いが鼻を覆った。
そして次に視界に入った光景に思わず目を見開いた。
横たわるよしきと牧村。
その腹部や足から血が出ている。
苦しそうにもがくよしきと、既に動いていない牧村。
他の柿田グループのメンバーは誰もいない。
僕のグループのみんなは呆然と立ち尽くしている。
これは…思い込みプログラムじゃない。
確実に誰かに刺されている。
「……ひか…る…か」
!
「よしき」
よしきに駆け寄り身体を起こす。
腹部に数箇所刺し傷がある。
これだけ血を流していたら、もう無理か。
「何があったんだ」
「……今日の内容…だよ…」
内容?
「…午後…教室で……宇佐美が…刺した」
刺した…
「ひかるの時とは違う…ちゃんと、漢字で……」
「…それで宇佐美が…正気を失って…この通り…」
よしきの肌が冷たくなっていく。
出血多量だ。見つけるのが遅かった。
「…宇佐美…が…最初に俺を刺して…そのあと…牧村……まだ刺そうとしたから…みんな逃げた」
だから誰もいないのか。
「…ひかる……グループ…分けなんかして…ごめん…俺…お前と……別れてから……色々…後悔した…」
「そう」
「一緒に戦いたかっ」
「よしき、宇佐美がどこ行ったか知ってる?」
「…………はは…やっぱ…ひかる…って…やばいね」
「知ってんの?」
「……知らない…けど……多分…上の階」
「わかった。ありがとう」
「………」
よしきが眠るように逝った。
牧村の方に目をやると、久遠さんと山野が寄り添っていた。僕と目が合うと2人は小さく首を振る。
牧村もアウトか。
「柿田達を探そう。宇佐美が全滅させる前に」
「待てひかる。バラバラになるのは良くない」
東坡が僕の腕を掴んだ。
「個人で宇佐美と遭遇したら危険だ。横澤でさえこうなってるんだから」
そうか、女子は特に危ない。
「じゃあ二手に分かれよう。僕と柳谷と花里。東坡と成川と女子2人」
東坡と一緒なら安全だろ。
「わかった」
「僕らは4階から降りてくる。東坡達は2階から上がってくれ」
「了解。ひかる、くれぐれも気をつけろよ」
「分かってる」
東坡が僕の肩を叩き教室を出た。
「ひかるさん…」
「久遠さん、東坡から離れないようにね。成川、山野、久遠さんをお願い」
「わ、わかった!」
成川がグッと拳を握った。
「そっちも気をつけて」
山野が静かに言った。
…枕崎を失ってまだ1時間も経っていないのにこの落ち着きよう。
やっぱり山野はただものじゃない。
死ぬなよ。
「僕らも行こう」
柳谷と花里が頷いた。

