山野の……パーの手。
そして……
枕崎…の………
久遠さんが隣で息を呑んだ。
「………え…」
「……」
「……なに…してるの?枕崎」
枕崎は…手を出さず、ただその場に立っていただけだった。
「………ごめん…無理だ………できない…」
「…ねぇ……何してんの…何してんのッ」
「……俺は…山野を殺せない…」
12時
「枕崎…ねぇ早く…早く出してよ!」
「ごめん…本当にごめん。本当は出すつもりだった。ちゃんと勝つつもりだった……でも、どうしても手が出ないんだ。出せないんだよ山野ッ」
「ね……お願いだからっ」
山野の両目から涙が溢れる。
枕崎の両目からも同じように。
「自分勝手でごめん…」
「枕崎っ!」
12時…1分
「っ…」
枕崎が自分の胸を押さえて膝をつく。
山野が駆け寄り、支える。
「…嘘、待って…嫌だ!」
「…俺……山野より…弱いから……」
「枕崎っ!ねぇってば!」
「ごめん……もう、少し……だけ、頑張って……耐えて…」
山野の目から大粒の涙が溢れ、白くなっていく枕崎の頬に落ちる。
「生き延びろとは……言わないから…先に行って…待ってる…から……山野が…正しいと思う…選択を…」
枕崎の声が小さくなっていく。
ああ…死んでしまう。
僕を信じて着いて来てくれた彼が、最高の味方が
消えてしまう…
「スイ!!」
山野の腕の中で、雪のように白い肌をした枕崎が、力無く白い手を伸ばして山野の頬に触れる。
「………せかいで……いち、ばん……あいしてる…」
「……っ…」
山野が消えそうな息を吐き、白い枕崎にそっとキスをした。
枕崎は…この上なく、幸せそうに……
息絶えた。

