いつどこで誰が何をした



11時50分 体育館


山野と枕崎が向かい合って立っている。
僕、久遠さん、柳谷、東坡、成川、花里はその様子をただただ静かに眺めている。

久遠さんは音もなく涙を流し続けている。
僕は彼女の震える手を握った。
「…山野が選んだんだ。僕らは見届けよう」
「……は、い…」


「…勝敗はじゃんけんで決める。山野はパーを出して俺はチョキを出す。それでいいね」
「うん。ありがとう枕崎」
山野が静かに微笑む。
枕崎は歯を食いしばって、涙を堪えている。

「……山野、本当にいいのか」
「何度も聞かないで。私は枕崎に生きて欲しい」
「…それは俺も同じだよ」
「…分かってる。自分勝手でごめん」
「…許さない。来世でど叱ってやる」
「……待ってる」
枕崎から来世なんて言葉を聞くとは思わなかったな。


「…山野。知ってると思うけど、ずっと前から好きでした」
枕崎の上擦った声。
「……うん。私も、好きでした」
山野の上擦った声。

「最後にわがまま言ってもいい?」
「なに?」
「名前、呼んでくれない?」


このゲームがなければ…2人はどうなっていたんだろう。
永遠にすれ違ったままだった?枕崎の片想いだった?それとも…2人は結ばれて、結婚して、幸せになっていた?
そんな架空の未来なんて…想像したところで無意味だけど。


「…スイ」
山野の透き通るような綺麗な声。
「……ありがとう。美波」

そして2人が無言で見つめ合うこと少し。


「…時間だよ。2人とも」
柳谷が静かに呟いた。



枕崎の頬を、綺麗な水が伝った。


「……行くよ」
「うん」

「せーのっ」