「…山野、待って」
再び柳谷が口を挟む。
柳谷が積極的に会話に入ってくることは少し珍しい。
まあ…山野と柳谷は仲が良いから、もしかしたら彼も山野を失うことは避けたいのかもしれない。
「…すまん枕崎。ひどい発言だと承知の上で言わせてもらう」
柳谷がそう前置きをして立ち上がる。
枕崎が静かに頷く。
「…枕崎がいなくなったとしても…俺がいる。俺なら枕崎の抜けた穴を埋められる。正直、ここまでゲームが進んだ今なら、枕崎よりも山野の方が需要がある」
柳谷が真っ直ぐ山野を見た。
……。
確かに山野の存在は大きい。
その理由は…彼女は誰より冷静で、感情や周りに流されることなく、常に最善の選択ができるから。
それほどに芯が強いから。
尚且つ女である事。つまり犯人がそれほど警戒していない人物。
良い意味で彼女は今までのゲームにおいてそれほど目立っていない。過去に指名されたのも前半。
僕が『飛び降りる』を入力した時に指名されていた事や今までの言動から、彼女は高確率で犯人ではないと考えられる確実な味方。
例えここで生き延びたとしても、今後再び指名される確率の高い枕崎よりも…特別誰かに肩入れするわけでもない、常に一歩引いた所に居れる山野は…最終決戦において確実に役に立つ。
…そして柳谷の言う通り、枕崎がいなくなったとしても…柳谷がいる。
柳谷は枕崎に充分足りる頭脳を持っている。
いや、このゲームにおいては…おそらく枕崎よりも柳谷の方が脳が効く。
「……すまん枕崎。決してお前が死んでも良いと言ってるわけではない」
「分かってるよ柳谷。お前の言いたい事は」
「…もちろん理想は山野も枕崎も両方失わないことだ」
そりゃそうだよね。
流石は頭が切れるだけある。
私情に振り回されず、需要とゲームの将来性を優先的に考えている。
……たかが高校生なのに。
命よりも需要を考えられるようになってしまっている。
この3人は…特に。

