「……ごめん。愛菜、ひかるくん」
綾人さんは機械に両手をついて俯いた。
「いえ、こればっかりはどうしようもない。不完全な状態なのに全力を尽くしていただきありがとうございます」
誰も何も言えないだろうから、当事者である僕がそう告げた。
さて…いよいよまずいな。
本当に僕は今日死ぬかもしれない。
だとしたら…残された時間で出来ることを全てやろう。
僕がいなくなった後、柳谷や枕崎を筆頭に、みんなが少しでも早く真相に辿り着けるように。
本来あるべき姿に…戻れるように。どうせ死んでしまうなら、最後くらい良い顔をして逝こう。
かなり…残念だけど。
「みんな、学校に戻ろう。ついてきてくれてありがとう」
誰も何も言わなかった。
久遠さんの鼻を啜る音だけが殺風景な研究所に響いた。
「……あんたが開発したんだろ」
え?
部屋を出ようとした時、低い声が響いた。
振り向くと、動こうとしない人がいた。
「…祐樹?」
「…あんたがこの殺人機械を開発したんだろ…。だったら…なんとかしろよ…っひかるを助けろよっ!!」
祐樹がギリっと歯を食いしばって綾人さんを睨みつけた。
「祐樹、やめろ」
「何がごめんだ!!ふざけんなっ!なんとかしろっ!なんとかっ」
祐樹に僕の声は聞こえていない。
涙目で綾人さんに掴み掛かる。
「祐樹!」
「ひかるがっ…ひかるが死んじまう!あいつはこのゲームに唯一対抗できる俺達の光なんだ!!ひかるが居なきゃ俺らは終わっちまう!
それに…こんなゲームで親友を失くすなんて嫌だ!俺のっ…お、俺の親友なんだ…っ頼むよ…」
……祐樹
ボロボロと祐樹の目から大粒の涙が溢れる。
…祐樹が泣いてるところを見たのは初めてだ。
なんだろう…別に僕は泣いてないのに、何故か胸が痛い。締め付けられる。何この感覚。
「あんたが…こんなもの開発しなれければ…こんな機械作らなければ誰も死ななかったっ!」
「…っ」
綾人さんがぐっと何かを飲み込む。
「ひかるを助けろ!頼むからっ…頼むからぁ…」
綾人さんの胸ぐらを掴んだまま強引にゆする。
「祐樹、もういいから」
「良いわけねぇだろ馬鹿野郎!!俺はお前に死んでほしくない!他の誰よりも…死んでほしくない!!」
「…っ、祐樹っ…もういいってば!」
なんなんだよ、馬鹿はお前だろ。無意味なことしてんじゃねぇよ。僕が死んだからと言ってお前が死ぬわけでもないのに…なんでそんなに取り乱してんだよ…
「…祐樹!」
祐樹は僕を無視して綾人さんに掴みかかったまま、涙を流したまま、嗚咽でうまく息が吸えないまま、意味もなく喚き散らしている。
…なんでそんなに泣けんの…
当事者でもないのに…
祐樹…祐樹もういいよ。充分わかったから…
やめてくれないと、なんだか僕まで壊れそうだよ…

