いつどこで誰が何をした



腕と耳にセットされた装置。
離れたところで綾人さんが大きな機械を操作している。

「じゃあ…はじめるよ」

みんなが向かい側で祈るように僕を見る。
ふぅと息を吐いて頷いた。

さあ。どうなる。


大きなボタンが押され、スイッチが入ったのが分かった。
ジジっと耳元の機械が音を立てた。綾人さんの前にある機械がゴウンゴウンと動き出す。
腕に通した機械がググッと締め付けてくる。


……が、僕自身は特に何も感じない。これ始まってるのかな。
お世辞にも手応えがあるとは言えない。
祐樹が心配そうに僕を見ている。時折り綾人さんの方を見て冷や汗を流す。

僕には機械の仕組みはわからない。
しかし…まあ上手くいっているわけではなさそうだということは、綾人さんの表情を見ればわかる。
僕の中でも特に何も変化がない。


そして…大袈裟な音を立てていた機械が途端に静かになった。
腕の締め付けも耳元の雑音もスッと消えてしまう。



「兄さん…成功、したの?」
久遠さんが胸の前で組んだ手を解かぬまま尋ねた。

嫌な沈黙。
少しして、綾人さんが小さく首を振った。
「……やっぱりダメだ……電源装置を持っていない状態では…Mo153は解除できない」

ずうっと、嫌でも感じる重い空気。
誰も何も言えなかった。


…まあ、こうなることは予想できていた。
それは僕だけではないはずだ。

枕崎が小さく項垂れ、柳谷が強く眉間に皺を寄せる。東坡は消えそうな声でクソッと呟いた。
久遠さんは絶望的にその場に膝をつき、山野は静かに目を伏せる。
花里がゆっくり首を横に振り、成川はぐっと目を瞑る。

…祐樹は…
ただその場に、呆然と立ち尽くしていた。