いつどこで誰が何をした



それから数時間、僕らの血を使って、綾人さんはプログラム解除のために動き回っていた。

現在12時。
タイムリミットは迫ってくる。
みんなが不安そうにうろついている。


「……」
祐樹が頭を抱えて静かに座っている。
…。
「なあ、祐樹」
「……?」
僕はその隣に腰掛けて、祐樹に笑いかけた。

「覚えてる?高校受験の時、僕が受験票忘れて慌てて取りに帰ったこと」
「…え?」
「2人で一緒に受験行って、その道中で受験票ないことに気づいてさ、僕血相変えて取りに帰ったんだよ」
「…ああ…あったねそんなこと。あの時ひかるが珍しく焦ってて新鮮だったんだよな」

「先に行ってていいよって言ったのに、受験票取って戻ってきたら祐樹が待っててくれたんだよね」
「そうそう、そうだった。俺もなんでかわからないけど待ってたんだった」
「それで2人して、なんで待ってたんだよ!とかなんでそんなもん忘れたんだよ!とかギャーギャー言い合いながら全力疾走したよね」

「間に合うか不安だったけど、割と余裕だったんだよな」
「え?ギリギリじゃなかった?」
「いーや?余裕だったよ。会場着いた時はまだみんないたし」
「ええ?でもちょっと遅れて入らなかった?僕ら」
「俺が水飲みたいって言って自販機から帰ってきたらギリギリだったんだよ」
「あーそうか、そうだったわ」

「懐かしいな」
「ね。でも遠い昔の記憶にも思えるし、つい昨日のことのようにも思えるよ」
「…ひかると会って、もう4年目だもんな」
「4年かぁ。きっと何年経ってもあの受験の日のことも、今日のことも、絶対忘れないだろうね」
「……うん」


「…ひかる」
「うん?」
「そんな他愛のない当たり前の日常、取り戻してくれよ」
「え?」
「ひかるならできるだろ?このクソゲー始めたクソ野郎に一発ぶちかましてくれよ」
「…もちろん、そのつもりだよ」

「……絶対死なせない」