「柿田」
「…なによ」
涙を拭いながら鼻を啜る柿田が横目で僕を見る。
「生きろよ」
片桐も三谷も…いなくなってしまったけど。
それでも、生きることを諦めるなよ。
「…わかってるわよ…生きてやるわよ。犯人の顔面ぶん殴ってやるんだから…」
柿田がぐいぐいと乱暴に目を擦る。
ずずっと鼻水を啜る。
はぁもう…
汚いな。
僕はポケットからハンカチを出して、柿田の方は見ず雑に差し出す。
「……なによ」
「汚いから」
「女の子に向かってそれはないんじゃない?」
「僕お世辞言えないから」
「ほんといい性格してるわね」
「そりゃどうも」
柿田はゆっくりと僕の手からハンカチを受け取る。
「これいつのハンカチよ…洗ってるの?」
「うるさいな。嫌ならいいよ」
「鼻水でベタベタにしてやるから」
「いらね。それあげる」
「う、嘘よ」
「いいって、持ってなよ。どうせまた泣くだろ」
「………うん」
柿田はぎゅっと僕のハンカチを握りしめた。
「で?今日の内容のことだけど」
僕が切り替えて柿田を見ると、目元を拭いていた柿田がため息をついた。
「もう少し待ちなさいよ。私まだ泣いてるじゃない」
「知らん。どうでもいい」
「はぁぁ…ちょっとでも良い奴って思った私が馬鹿だったわ」
そんなことより
「小塚が言ってたのは本当?指名されてなくて2人死んだって」
「……ええ。本当よ」
どういうことだ…?
なんで急にそんなことが可能になったんだ。
『誰が』に『誰かが』を入れられるってこと?
「私たちも最初は混乱したわ。誰も指名されてないならやらなくても誰も死なないんじゃないかとも考えた」
いや…
「そんなことは」
「ええ、そんなことあり得ないと思った。これだけ残酷なゲームで、人数も減ってきた今になってそんなぬるいことがあるわけないって思った」
…ぬるいどころか…
もしかしたらゲームはかなりやばい段階まで来てるんじゃないか…?

