「おはようございます。ひかるさん」
あ
黙っていても情報が絶えず入ってくる個性派クラスメイトの声に混じって確実に僕にかけられた声。
「久遠さん。おはよう」
昨日は久遠さんブームだったのにRINEの一件であっという間に話題は逸れる。
「みなさん盛り上がってますね」
「うん。久遠さんは来た?」
「何がですか?」
「らいん…」
「ああ!久遠愛菜ちゃん!」
おお、遮られた。
「はい?」
「昨日メッセージきた?『8』ってやつ!なんか変な内容で返信以外できないあれ」
そんな雑な説明をした越田と、その腕を組んで横に並んでいる浜崎。
「『いつどこで誰が何をした』というものですか?来ましたよ」
やっぱ来たのか。
「えー転校生にも来てるんだー!何これぇ」
「なんか怖いよねー」
「そうですね」
キャッキャっと楽しそうな二人の背中を見送って呟く。
「みなさんにも来たんでしょうか」
「そうみたい。久遠さんはどんな内容だったの?」
「私は『何をした』でした。携帯が動かなくて予定表が開けなかったので返信しましたが」
おお、さすが久遠さんらしい。
「なんなんでしょうね」
「うん…なんでもないといいけど」
「え?」
スッと、そんな僕と久遠さんの前をヘッドフォンをつけた山野が通り過ぎた。
「あ、山野おはよー」
「おはよ」
続いて僕らの前を遮る影。
この時間ということは、
「柳谷、おはよー」
「はよ」
リュックを片方の肩にだけかけて雨で濡れた髪をかきあげる柳谷。かっこいいなー
「柳谷のとこにもきた?」
山野が髪を耳にかけながら尋ねる。綺麗だなー
「メッセージだろ?きたよ」
「なにあれ」
「さあな。スマホ動かなくなったのは焦った」
「やっぱみんなそうなってるんだ」
柳谷が来たってことはもう直ぐ先生が来る。
この学校は8時に予鈴だ。で、10分には先生が来てSHRが始まる。
高校にしてはかなり早い時間。
山野と柳谷はいつも結構ギリギリに来るからね。

