「片桐、屋上の鍵ってまだ持ってる?」
「え?ああ、秋沢の時のやつ持ってるまんまだ」
そう言ってポケットから鍵を出す。
「屋上なのか?場所の指定は」
「…うん」
来たことのない屋上の扉の前にある背中を、なんとも言えない目で見る。
…片桐は、確かに頼れる学級委員長だ。
こうして勢いで呼び出しても疑わずついて来てくれるし、僕のことを信用してくれている。
隣の席にはいつも彼がいて、くだらない質問にも答えてくれたし、なんだかんだ仲は良かった。
間違いなく友達だった。
こんなゲームがなければ…僕はきっと片桐をずっと友達として好きだったし、恨むことなんてなかっただろう。
…そして彼も
自分のクラスメイトを自ら手にかけて殺すこともなかっただろう。
すまない片桐。
でも僕はもう引き返さない。
悪いね。恨むなら犯人を恨んでくれ。
「扉めっちゃ重いんだけど」
片桐がガチャガチャとドアノブをいじっている。
「片桐、ポケットからスマホが落ちそう」
僕はそう言って、彼のスマホに触れた。
「ああごめん、ありがと。ひかるも一緒に押してくんね?」
「うん」
せーの、と二人で扉を押し開けた。
ヒュオーと強い風が吹いた。
初めて見た屋上の景色。
結構汚い。
校庭で感じる何倍も強く冷たい風が僕らの間を吹き抜ける。
「…すげぇ屋上ってこんな感じなんだ」
広い空。
雨は止んだが、灰色の雲は手を伸ばせば届きそうな距離に見える。
「ひかる、早くクリアしよう。何すればいいんだ?」
僕は片桐の言葉を背中で聞きながら、屋上の隅の方に向かう。
「おーい!あんまり端に行くと危ないぞ」
僕は足を止め、ゆっくりと片桐に振り向いた。

