「……」
山野が静かにルーズリーフを畳む。
久遠さんが口元を押さえて涙を溢した。
「……本当は…もっと早く気づけたはずだった」
僕の低い声が静かに美術室に反響する。
「……時川、深川、三谷…そして梅原。返信せずに死んだと思われるこの4人には共通点があったんだ」
「共通点…?」
そう。
「全員、死ぬ前日に…片桐と関わってる」
『片桐龍斗に気をつけて』
梅原が残してくれたこの言葉で確信に変わった。
「…片桐が犯人ってこと?」
祐樹が消えそうな声で言う。
…いや
「そうじゃない。犯人だったら梅原の言う、スマホが手元にないってのはおかしい。ゲームをやらせるのが目的だったらスマホを無くさせるようなことはしないはずだ」
「だったら……」
おそらく
「片桐が…スマホを奪っていたんだ。返信できないように」
「…片桐が…?なんで、そんなこと」
「片桐は前に僕に言った。
『俺はいつでもこのゲームを早く終わらせるために動くよ』って」
終わらせる。
それはつまり
「クラスメイトを全員殺せば、確実に犯人も消せる。クラスメイトが4人以下に減れば、メッセージに返信できなくなる。プレイヤーがいなくなればゲームは終わる。
片桐は…そう考えていたんだろう。だから意図的に殺していた。そうすれば、嫌でもゲームの続行が出来なくなるから」
こんな状態では殺人をしたところで罪には問われない。
むしろ犯人を殺せていれば英雄にすらなっていただろう。
だけど…
一番身近にいた時川から手にかけているということは
数を減らすことを最優先にしていた可能性が高い。
「……クソ野郎…」
東坡が徐に扉に向かう。
「待て東坡」
僕の言葉に勢いよく振り向く。
「なんで止めるんだよ…仲間がやられたんだ…ぶっ殺してやる」
わかってるよ。
僕も同じ気持ちだ。
だから
「僕が行く」
「…ひかる、さん…」
「かたをつける」
時川も深川も三谷も…梅原も、死ぬと分かっていながら返信のしようがなかったのは…すごく怖かっただろう…
白々しい。
時川がなくなった時の片桐の反応…
いつ精神が崩壊してもおかしくないとかほざいてたけど、僕の嫌な予感は当たってしまった。
3日前、成川と一緒に教室に戻ってきた時も手にかけようとしていたんだろう。
たまたま僕らが教室に残っていたから未遂に終わったけど…
思えばあの時も僕は若干の疑いを持っていた。
でも片桐だからと、そんなはずはないと…目を逸らしてしまった。
その結果がこれだ。
情けない。
ーーー
ひかるくん、助けてくれてありがとう。
大好きです。さようなら。
ーーー
…ごめん梅原。
そして…ありがとう。

