いつどこで誰が何をした



バスに揺られること1時間。
僕らは目的の場所へ辿り着いた。

「ここだ」
「大きいですね」
死刑囚いるくらいだからね。
人生初の刑務所である。なんだか嫌な雰囲気。

「久遠さんここで待っててもいいよ。中まで行くの怖くない?」
「…正直怖いですけど、ここに一人でいる方が嫌なのでいきます」
それもそうか。
「一緒に行きましょう」
…うん。


中に入ると、ちょっと強面の警察?の人と目が合う。
「…なんだね君たち」
「あ、面会に来ました」
「面会?そんな予定は今日ないはずだが」
え、あ、予約制?
「すみません、急に来ました」

「はぁ、君たちねぇ困るよ。ここは遊びに来るようなところじゃないんだから、高校生だけでノコノコこられても」
「どうにかしてできませんか?」
ちょっと嫌な感じのコワモテ男がめんどくさそうに僕を見る。
「とりあえず誰の面会に来た誰かを教えてくれ」
ああ、そうか言わなきゃね。


「新田さとるって人の面会に来ました。新田ひかるです」

僕がそう言うと、わかりやすく固まった警察の人。
周りにいた他の職員もざわッとする。


警察の人はゆっくりと僕の髪の毛を見る。そして僕の目を見て、口元を見る。
ああ、見せた方がいいのかな。
僕は少しだけ歯を見せて口だけで笑う。
僕自身はあんまり好きじゃない八重歯。
明らかに血縁者だということは見て分かるだろう。

「父に会いに来ました。会えますか?」
「……」

掠れた呼吸音だけを出すコワモテ男。
周りからのちょっと変な視線。
やっぱあれだけの事件を起こした死刑囚の血縁者となると引かれるんだな。

「…ちょ、ちょっと待っていてくれ」
力無い声でそう言って、警察の人はどこかへ行ってしまった。
ざわざわした空気に包まれる。
僕を見る知らない人たちの視線。居心地が悪い。


「ひかるさん…」
久遠さんが僕の服の裾を掴んだ。
「ん?」
「大丈夫ですか」
心配気に僕の顔を覗き込む。
「平気だよ、ありがとう」