「成川…それはあんまりひかるに言わない方がいい言葉だ」
祐樹が静かに言った。
空気がピリつく。
普通じゃない…
普通じゃない、か。
「ごめん、僕にもそれはわかってる。でも…きっとひかるくんが何かの鍵になってるはずなんだ」
…。
「じゃあ僕が大人しくしていれば、新しいルールが追加されたりすることはないってこと?」
にわかに信じがたいが、確かに過去に唯一、僕は犯人と直接メッセージのやり取りをしてる。
僕が指名された時、犯人は僕の言葉に耳を貸した。
もし、僕が何かの鍵になっているのなら…
「でも…そうしたら、このゲームは永遠に終わらない。このゲームを終わらせることができるとしたら…僕はひかるくんだと思う」
成川の言葉がしんとした教室に少しだけ反響する。
「…俺もそう思う」
枕崎が言った。
「私も」
山野も続く。
梅原と花里が頷く。
「ひかる…」
祐樹が静かに名前を呼ぶ。
……じゃあ
「じゃあ終わらせる。僕が終わらせる。それで普通の学校生活に戻す。少しでも早く」
僕にしては珍しく、はっきりと、意志を持って言った。
みんなの顔が明るくなる。
空気の張りが緩む。
「もちろんひかるだけじゃないぞ!俺も協力するからな!」
祐樹が立ち上がる。
「当然だ。そのためのチームだ」
東坡も口角を上げて言う。
「終わらせよう。これ以上誰も死なせないでさ」
「犯人だって人間だ。必ずミスはある。俺らは操り人形じゃないんだ、戦おう」
柳谷と枕崎が力強く言った。
「成川、ありがとう」
成川を見て言うと彼は緊張していたのか、固まっていた肩の力を抜いて盛大に息を吐いた。
「ううん、こちらこそ。僕の話を聞いてくれてありがとう」
やってやろう。
どこの誰が犯人だろうがぶっ潰してやる。
僕を敵に回したこと後悔させてやる。
「そうと決まれば、僕は動き回ることにするよ。とりあえず父親に会ってくる」
……
「「はぁ!?」」
少し間を置いて、綺麗にみんなの声が重なった。
「な、なんでそうなるんだよ」
「犯人が僕に情報提供してくれたんだから応えてやろうと思って」
「急すぎない?存在すら昨日知ったんだろ?」
「僕の父親死刑囚だからほっといたら死んじゃうかもだし」
「いやいや、でもなんのために!」
「もしかしたら父親が何か知ってるかもしれないし」
みんなが慌てている。
「僕は僕のことを知らなさすぎるんだ。生まれも育ちも家庭も。僕が鍵になってるのだとしたら、僕は僕のことを知る必要がある。というわけで行ってくる」

