「まあでも今までの内容に比べたら、確かにクリアはしやすいな」
柳谷がスマホを見て言う。
「柿田の方はどんな内容なんだろ」
祐樹が久遠さんの閉めた扉を開けて、向こうの教室の方を見る。
「特に騒いでるとかはないね」
花里が後ろに続き様子を見ている。
「キスしたか…合コンのゲームみたいだな」
枕崎がボソリと言った。
彼の口から出るにはかなり違和感のある言葉。
「合コンしたことあるの?」
と、ツッコミを入れたのは珍しくも山野だった。
「え?」
「…」
山野の感情の読めない目が枕崎を見る。
「に、人数合わせで…仕方なく」
「………あっそ」
ツンとそっぽをむいた山野に珍しく枕崎が動揺している。
「ま、まじで人数合わせだったから。特になんもなかったし、なんなら途中で帰ったし俺」
「聞いてないけどそんなこと」
「いや、あの山野…本当に何も」
枕崎の謎の弁解。
山野揶揄ってるだろアレ。
と思ったが、割とちゃんと拗ねてるっぽい。
「山野」
「うるさい」
頑張れ、枕崎。
そんなやりとりを横目で見ていた柳谷がため息をついて僕に向き直る。
「でも冗談抜きで誰かは相手しないとな。一人では出来ない。じゃんけんみたいに勝ち負けがあるわけじゃないから普通にクリアできると思うけど」
うん。
何より大事なのはクリアすることだ。
問題は相手?
「ひかるやれば?」
え?
東坡が横目で僕を見ていた。
「なんで?」
「一番仲良いだろ?」
仲良い…のか。
まあ話す方だけど…
「ちょ、ちょっと待ってください!」
「ちょっと待って!」
東坡と僕の間に割り込んで、同時に叫んだのは梅原と花里だった。
「く、久遠さんは女の子なんだから…流石に男の子にき、きき、キスなんて……。する場所も相手も指定がないんだったら…別にひかるくんじゃなくても…」
梅原がチラチラ僕を見ながら言う。
「そうだよ!ひかるくんじゃなくてもいいでしょ!ひかるくんとキスとかズルすぎ!僕だってしたい!」
花里が駄々をこねている。
気持ち悪い。
悪いけどお前とすることは絶対にないから。
柳谷が片眉を上げて二人と僕を交互に見る。
「まあ…久遠愛菜が決めればいいんじゃね?」
「普通に考えてそうだろ」
黙っていた祐樹がそう言い、隣にいた成川も深く頷いた。

