「この人は生物学上血が繋がってるかもしれないけど、僕からしたら赤の他人。知らない人だよ」
「…そうだったんだ」
枕崎が低い声で言う。
「1人で…ずっと」
成川がボソリと呟く。
「寂しくないんですか?」
久遠さんが静かに言った。
真っ直ぐ僕を見ている。何故君がそんなに苦しそうなのかは知らないけれど。
「寂しいわけあるか。僕にとってはこれが当たり前だから。家族のいる生活を最初から知らなければ、寂しいもクソもないよ」
寂しいと思うのは寂しくない時を知っているから。
苦しいと思うのは苦しくない時を知っているから。
不幸だと思うのは幸せな時を知っているから。
知らなければ、思うことなんてない。
そういうものだ。
「犯人が僕にこれを送った意図はわからないけどね」
「多分…この情報でひかるが動揺すると思ったんじゃないかな」
枕崎が山野からスマホを取ってもう一度見る。
「団結されるのは犯人にとって不都合なんだろ。だからこの情報を流すことで俺らの輪を崩そうとした。それにひかるはこのゲームを進行する上でかなり力のある人間だから、なんとか邪魔したかったんだろ」
柳谷が軽く笑いながら言う。
「舐められたもんだなひかる」
東坡が僕の背中を叩く。
「平気だろ?」
きっと心配してくれているのだろう。
「平気。へーそうだったんだって思っただけ」
「さすがひかる」
祐樹がにっと笑う。
「ひかるくんのお父さんがどんな人であれ、ひかるくんはひかるくんだよ」
梅原も珍しく大きめの声で言う。
「父親の事実なんかより、今まで1人で生きてきたってことの方がびっくり。えらいね、ひかる」
山野がクールに笑う。
山野にえらいねって言われるの結構嬉しい。
ドキドキしながらチラリと枕崎を見ると、ジトーっと僕を見ていた。
おおぅ…妬くなよ…
「僕もそんなこと知ったところで、ひかるくんを見る目が変わったりすることなんてないよ」
成川までもがそう言ってくれる。
「僕はひかるくんのこと知れてハッピー。孤独を背負いながらもっ事実に狼狽えないなんてっ…あー!かっこいいよひかるくん」
花里が抱きしめようと手を広げて近寄ってくるので避ける。
「今のは抱きしめられる流れなのに!」
花里に褒められてもあんまり嬉しくない。
みんなはきっと僕を励まそうとしてくれてる。
仮にも血縁者が凶悪犯罪者だなんて知ったら、僕を怖がっても不思議じゃないのに…
決してそんなことなかった。
むしろ僕がこの事実に対して狼狽えないよう、必死で支えてくれているのだ。
でも、久遠さんだけが、相変わらず苦しそうに
何故か悲しそうに僕を見ていた。

