そんなバカなやり取りから視線を外すと、驚いた顔をしている成川と目が合った。
「成川?どうした」
「いや…ひかるくんのイメージがちょっと違ったから…」
え?
「なんか…もっと、あの…いや、違うっていうのは良い意味でね?思ってたより…あの、良い人だったから…」
えーなにそれ。
今まで良い人じゃないって思ってたってこと?
「や、あの…えっと…いや、いい意味で、だよ?」
口籠る成川をじとりと見る。
「いーや成川。お前のイメージ通りの一面もあるから気をつけろよ」
そう言ったのは東坡だった。
「イメージってなんだよ」
僕がムッとして返すと
「昨日横澤の言ってたことは的を射てるってことだよ。ひかるの頭のネジは確かにぶっ飛んでるから」
えーなにそれー。
失礼な。
「でもひかるが味方に居てくれるほど心強いことはないぞ。仲間想いなのは確かだ。ただ、たまーにやばい奴になるってだけ」
褒められてるのか貶されてるのかわからないんだけど。
東坡の言葉に激しく頷く柳谷。
それを見て笑う山野。
枕崎もやれやれというように表情を崩す。
「わ、私は良いと思いますよ!ひかるさんの素直な性格!」
久遠さんのフォロー。
「素直なんて可愛いもんじゃないと思うけどね」
柳谷がすかさず突っ込む。
「私も!ひかるくんは優しいと思ってるからね!」
梅原の珍しく大きな声のフォロー。
「ひかるくんの優しさの欠片もない、むごーいところが好きぃ」
花里がそのフォローを台無しにしやがる。
「ひ、人には長所と短所があるんだよ!」
祐樹のあまりフォローになってないフォロー。
「あははっ」
そのカオスな状態に思わず笑いがこぼれた。
「お?ひかるの笑顔新鮮だな」
柳谷が頬杖をついて笑った。
「え?別によく笑うでしょ僕」
「気味悪い笑い方は何回か見たけど?」
山野が揶揄うように言う。
「そういう高校生らしい顔のことだよ、ひかる」
枕崎がふっと息を吐いて言った。
高校生らしい…か。
「だって高校生だもん。普通の」
「そうだね。普通の」
「うん。普通の」
そう、僕らは、普通の高校生だ。
みんなも同じように笑った。
久々にこんな暖かい時間を過ごした気がした。
このゲームが始まる前は日常だった風景。
やっぱり、あの日々は決して当たり前のものではなかったんだ。
失って初めて気づくというのは本当らしい。
人間という生き物は、失わないと気づけない愚かな生き物らしい。

