「なんなんだよあの厚化粧。急に意味わかんねぇことやり出して」
僕らが移ってきたのは元の教室。1年3組。
野々村が死んだ最初の教室だ。
東坡が教室に入るなり廊下側一番前の柿田の席を蹴飛ばした。
柿田達がいるのはここで秋沢辻原が破裂してから移動した、二つ先の1年5組の教室。
やっぱりここが一番落ち着く。
僕らの教室。
教卓と廊下は雑に掃除されたようで茶色く濁ったままではあるが、なんかもう気にならなくなった。
みんなが各々の席に座る。
穴だらけだ。
たった10席しか埋まってないからね。
律儀に自分の席に座らなくてもいいのに。
「何がグループだよ気色悪い」
「まあまあ、でも正直言うと僕に協力的なメンバーを厳選できたのは割と好都合だったりする」
僕の言葉にみんなが首を傾げる。
「どういうこと?」
柳谷が興味深そうに聞く。
「向こうには思い込みプログラムの存在を知ってる人間が誰もいない。だけど僕らのグループは半分以上がその存在を知ってる」
僕、久遠さん、柳谷、山野、東坡、そして枕崎。
確定しているわけではないが一番可能性が高い死の原因。
それに僕、山野、梅原は一度指名されてそれぞれクリアしている人間だ。
次に指名されるまで時間があるかもしれない。
犯人が内容を選んでいるのならね。
「思い込みプログラム?」
花里がなにそれーと呟く。
「考えたことない?この奇怪すぎる死に方のこと」
このプログラムのことはベラベラ喋れる内容ではない。
ましてや柿田なんて厄介な人に知られるのはめんどくさい。だからこそ、こうやって人を厳選できたのは好都合なんだ。
僕だけで考えたって仕方がない。脳みそは多い方がいい。
その後久遠さんによる思い込みプログラムの説明。
そして成川による清瀬奈加の存在と『8』についての考察。
今までに僕らが話し合ったことについて、このメンバーに共有した。
本当はもう少し疑うべきだと思う。
でもみんななら大丈夫だと僕の本能が言ってる。
今までは本能に従わず間違いを犯し続けてきた。
だからこそ、今は、こんな時こそ、本能に従ってみることにしたんだ。

