「これで今日のHRを終わる」
「「ありがとうございました」」
はあ終わったー。
帰ろ帰ろ。
久遠さんのおかげか今日はちょびーっとだけ時間がすぎるのを早く感じた。
「ひかるー!」
鞄を担いで祐樹がやって来る。
「今日も部活?」
「おう!」
「がんばれよー」
「また明日な!」
僕は帰宅部だから授業が終わればすぐに帰る。
バスケ部に所属している祐樹は毎日のように部活があるが、欠かさず僕に挨拶に来てくれる。
いい友達だ。
さて、いつもと同じように帰ろうとカバンを担いだ。
「新田さん」
ん?
背後から本日2度目の優しい声。
振り返ろうとしたら、ガコン!という大きな音が聞こえた。
久遠さんがカバンを放り投げてすっ転んだ…みたいだね。
「あー…大丈夫?」
シュタと素早く立ち上がり、スカートをぱっぱと払って優雅に笑った。
「失礼しました」
「ふははっ気をつけて」
「えへへ、はい」
久遠さんはおっちょこちょいだ。
「あの…ご一緒してもいいですか?帰り道」
「別に構わないよ」
「ありがとうございます!」
「じゃあ行こうか…わっ」
席を立った瞬間、後ろにいた人物にぶつかってしまった。
「あーごめん小塚」
「あ、いや、こっちこそ…ごめん」
小塚満。
あまり印象のない目立たない男子生徒。
人よりふくよかな体型といつも垂れ下がっている困り眉が特徴的。
普段喋らないので声を聞くのは少し新鮮だ。
「また明日ね」
「う、うん」
目も合わせず逃げるように去っていく背中を見つめて僕は少し肩をすくめた。

