中村は取り乱して叫び出す。
奇声を上げて頭を掻きむしっている。
「野々村返してよ!野々村に会いたい!野々村を愛してるの!!」
狂ったように言った中村が、僕の前にいた花里と祐樹を突き飛ばす。
そしてら僕の胸ぐらを掴み上げた。
「中村!」
すぐに体制を整えた祐樹が中村を引き剥がそうとする。
「野々村が死んだのはひかるのせいじゃない!」
「あんたが犯人なんでしょ!ねぇ!そうって言ってよ!そしたらあんたを殺す口実になる!!」
中村のトチ狂った目が僕を凝視する。
祐樹に引き剥がされて暴れている。
勘弁してくれ気色悪い。
消えたはずの黒い何かがまたふつふつと胃の中で泡立ち始める。
「うあ!!」
と、祐樹の叫び声が聞こえた。
「祐樹!」
何かと思えば頬から血を流していた。
中村が手に持っていたのはカッター。それを振り回していたのだ。
「中村!!やめるんだ!」
よしきが叫ぶ。
「よらないで!!」
両腕を振り上げる中村。
「祐樹離れろ!」
僕の声に祐樹が頬を押さえて転がり避けた。
ギラっと、祐樹から僕へ視線を移す。
「殺してやる…あんたを殺して私も死ぬ。そしたら野々村に会える…」
勝手に会いに行けよ。
僕を巻き込むな。
「ひかるくん!」
「ひかるさん!」
「ひかる!」
花里と久遠さんと祐樹の叫び声。
枕崎と片桐も立ち上がって止めようとする。
久遠さんが僕と中村の間に入ろうとしたのを山野が止める。
よしきや檜山も中村に手を伸ばす。
東坡もガタンと席を立った。
「誰も寄るな!」
僕の声にピタッとクラスメイト達が止まる。
「あああああ!」
中村が取り乱して僕に襲いかかってきた。
揉み合いになり、僕はカッターを避けながら後ろに転ぶ。
覆い被さってきた中村。その下敷きになったままカッターを持った中村の手を掴んで止める。
…なんて力だ。女子とは思えない。
それほどに自我を失っている。
「死ね!!死ねよ!!」
「なかむらっ…」
カッターが僕の首に近づく。
「嫌だ!!ひかる!!」
祐樹が手を伸ばしている。
「ひかるくん!やめろ中村!!」
花里が走ってくる。
全てがスローモーションに見えた。
僕の脳がフル回転で動く。
血が騒ぐ。
ふつふつと、ふつふつ

