いつどこで誰が何をした



「…ひかるくん…犯人なんじゃないの?」
え?

そう言ったのは中村だった。
僕を睨み続けている。
せっかくまとまったクラスが再びしんとする。

「何言ってんの?な訳ないじゃん」
花里がすかさず反論する。
祐樹も中村を見て花里の言葉に頷く。


しかし中村は正気を失っているのか、目をかっ開いて焦点が微妙にズレたまま僕を凝視している。
「だっておかしいじゃない…昨日だって指差しただけでクリアなんておかしいわよ。自分だけ簡単にクリアして…怪しいよ」
中村がゆらりと席を立ち、僕に近づいてくる。

「簡単にクリアしたわけじゃないよ。僕が見てた」
花里が駆け足で中村と僕の間に入った。
「ひかるくんは色々試すつもりだった。指差してダメだったら本当に刺すつもりだったって言ってた。それも…僕じゃなくて自分自身を」
その言葉に祐樹が僕の方を振り向く。

「口ではなんとでも言えるわよ…色々おかしいのよ。野々村が死んだ日だって、みんなが怯える中、ひかるくんは野々村の死体から携帯を取ってきたんだよ?それに多田さんの携帯まで確認してた。偶然にしては出来すぎよ」
本当に偶然なんだけどな。

「あの日ひかるさんは筆箱を美術室に忘れたのでそれを取りに行ったんです。そしたらそこに美術部の忘れ物が置いてあって、そこに多田さんの携帯があったんです」
珍しく久遠さんも反論する。


「……」
中村が僕の目の前に立つ。
「ひかるくん…犯人じゃないの?」
「違うよ。誓って違う。証明はできないけど…僕は犯人じゃない」
そう言うしかない。

「俺もそう思う。ひかるは犯人じゃない」
枕崎までもがそう言ってくれた。
「もし犯人だとしたらこれだけ目立つのは危険すぎる。梅原の時も自ら殴られたし、大本の時だって巻き込まれてる。ひかるは確実にプレイヤー側だ。今までの全ての動きがそう物語ってる」
うん。僕はプレイヤーだよ。


「じゃあなんでこんなに『普通』じゃないの?ひかるくん、おかしいのよ」

……
ふつ、う
普通

「ふつう…」

「中村やめろ。ひかるを刺激するな」
よしきが後ろから言う。


「私は許せないの…あの日野々村の携帯をすんなりと取りに行けたひかるくんが…
野々村の死を、ゲームだって…そう確信に変えたこいつが…」

は?なに?
また野々村引っ張ってくるの?
てかゲームだって確信に変えたの僕なの?

「ひかるくんのせいで…野々村の死は…ゲームになった」
違うだろ。
頭おかしいよ。何言ってんの?


「ひかるくんがいなければ…私たちは野々村が死んだ翌日に誰も返信せず、みんなまとめて死んでた。
そしたら終わってた。こんなゲームやらずに済んだ。こんな恐怖体験せずにすんなり死ねた…
でもゲームだって…言ったから、ゲームだってあんたが気づいたせいで!私は死ぬのが怖くて返信しなきゃいけない!
何人もクラスメイトが死んで行くのを見なきゃいけない!知らなければよかったのに!知らずに死ねれば!!」

何言ってんだよ。
意味わかんないよ。