よしきは僕の頭のネジが外れてると言った。
でもそうじゃない。
「僕の頭のネジが外れてるんじゃない。
よしき、君たちに余分なネジが刺さってるだけだよ。くだらない戯言と余計な感情のせいで、需要のないゴミ同然のネジを打ち込まれてる。
僕は外れてなんかいない。選択しただけだ。
逃れられないゲームに囚われたんだから、一刻も早く順応して攻略しない限り勝ち目はないよ」
勝つために必要なものを選択できる人間じゃないと、生き残るなんて無謀な話だ。
「3分。僕の出したこの数字に需要がないと思う?」
よしきが僕を睨む。
浜崎や越田も眉間に皺を寄せて僕を見ている。
「ひかる…」
祐樹の細い声。
しんとする教室。
ん、もしかして僕ちょっと良くない立場にいる?
そう思ったが…僕の言ってることも一理あるらしい。賛同者がいないわけではなさそうだ。
「僕は分かるよ、ひかるくん」
離れた席から花里が言ったのだ。
柿田が目を丸くして花里を見る。
「僕も2件目のメッセージが来た時、辻原の死は免れないと思った。ひかるくんほど早く判断はできなかったけど…ただ驚愕して突っ立ってた僕より、ひかるくんは賢い判断をしてる」
思わぬフォローに少し驚いた。
「俺もひかるの意見はわかる」
と、なんと続けて枕崎までもが話し出した。
「2件目のメッセージが来た時点で…俺もひかると同じ考えになった。流石に時間を計るまで頭は回らなかったけど…。
辻原を起こせとは言ったが、起きたところで秋沢が死んだことへのショックと、自分が指名されたことへの混乱とで話にならなかったと思う。
ひかるの言う通り、毎度毎度起きることに気を動転させてたらこのゲームをクリアすることは不可能だ。自分たちが生き残るために何をすべきか。ひかるの判断は正しいとも言える」
枕崎の言葉にはやはり説得力がある。
何人かが言い返せずに俯く。
枕崎が味方してくれるのはちょっと嬉しい。
「…私も。申し訳ないけど…とてもじゃないけど助かるとは思わなかった。3分って時間を知ってると知らないとでは今後のゲームに大きく関わると思う」
さらに山野が静かにそう言った。
「…俺も、正直一瞬、時間のことを考えた。流石に行動まではできなかったけど」
柳谷も窓の方を向いたまま呟いた。
「俺はひかるが3分って答えを出してくれたことに感謝してるくらいだ」
東坡も低い声で賛同する。
僕は…クラスメイトの死に嘆き悲しむ人間より、
クラスメイトの死を受け入れ、それを自分の命を繋ぐための糧にできる人間が生き残ると思う。
綺麗事だけじゃこのゲームをプレイするなんて無理だ。
「僕は正しいことをしたんだ…」
自分から聞いたこともないような枯れた声が出た。
じーんと耳の奥が熱くなる。

