と、その時だった。
ピロン!
ピロン!ピロン!
例の通知音が鳴る。
しんと嘔吐の声や叫び声が一旦止まる。
ゲームオーバーの連絡か…
と思った。
でも…違う。おかしい。
ゲームオーバーの連絡だったら鳴るのは秋沢のスマホだけのはずだ。
だけど今、この通知音はクラス全員のスマホから聞こえた。
「…なんの…メッセージ?」
片桐がハンカチで口を押さえて言う。
枕崎と片桐と視線を交わす。
僕は机の上に置いていたスマホを持ち上げ、画面を見た。
ーー
変更内容。
代わりに実行してください。
『今
屋上で
辻原咲が
走った』
ーー
「っ!」
僕は素早くスマホを操作してストップウォッチを開いた。
「なんで…」
「どういうこと?」
メッセージを見た枕崎たちの声。
それに反応して何人かが震える手でスマホを出し始める。
「嘘でしょ…」
浜崎が泣きそうな声で言った。
「おかしいだろ…今日はもう終わったんじゃ…」
杉山も震える声を出す。
「……やらなきゃ…咲…咲っ!」
牧村が声を荒げた。
辻原は破裂の衝撃で気を失ったまま廊下に伸びている。
「辻原を起こせ!」
枕崎が叫んだ。
片桐が携帯を確認してハッとすると、吐きそうになりながら肉塊の中に飛び込み、辻原をゆする。
「辻原!辻原!起きろ!早く!」
「咲!起きてお願い!!」
牧村が泣きながら叫ぶ。
「辻原さん!」
梅原が絞り出した声で言った。
便乗してクラスメイトが口々に辻原の名前を呼び出す。しかし辻原は起きない。
僕はその様子を横目に見ながら自分のスマホに視線を落とす。
「辻原!辻原!」
「起きてお願い!咲!」
「咲ちゃん!」
「辻原さん!」
「辻原!」
…
2分58、59…
3分
パン
2度目の破裂音。
しんとするクラス。
見なくとも分かる。
廊下に飛び散る肉塊は
1人分から、2人分になった。

