いつどこで誰が何をした



パン


!?

瞬間
耳をつんざくような破裂音が響いた。
思わず耳を塞いで目を伏せる。


ビチャビチャビチャ


時差で何かが飛び散る音が聞こえる。
まさか…


ゆっくりと教室の出口へ目をやる。
秋沢と辻原がいた場所。
先ほどまでそこには真っ青な顔をした秋沢がいたはずだ。
しかし今そこにあるのは…

真っ赤に染まった床。トマトが破裂したみたいに芸術的に壁に広がる赤の飛沫。
ハンバーグをこねてるときのような微妙にまとまったひき肉のような肉塊。
そして男物の制服。


秋沢が破裂した。
それに気づくのに時間は有しなかった。

秋沢のどこがどうやって破裂したのかは知らないがものすごい音と共に人間の形は消え失せ、秋沢…だったものは下半身だけになっていた。
寄り添っていた辻原は破裂に巻き込まれたのか、秋沢だったものの肉塊に囲まれて気を失っていた。


「……キモ」

飛び散っている血と皮膚の残る肉の塊。ぐちょぐちょの脳みそと砕け散った骨。みじん切りみたいになってる臓器や目玉やその他もろもろ。
脳みそってまじでこんな形してんだ。
これが人間だったと思うと吐きそうだ。


「きゃぁぁぁぁぁぁ!!!!」
教室の廊下側一番前の席、柿田が時差で叫び声を上げる。
飛び散った血や肉がベトベトに彼女の身体に絡んでいて、正気を失っていた。
それを引き金にクラスメイトの聞き飽きた悲鳴合唱。

枕崎が口を開けて固まっている。
久遠さんが後ろでえずき、咳をする。
祐樹はガタンと椅子から転げ落ちた。
視界の先にいた越田が口を押さえてトイレに走る。
近くにいた檜山はその場でおえーと吐く。
他にも何人かがトイレに駆け込み、耐えられなかったものはその場に嘔吐する。

後ろを見れば、山野が白い顔でぎゅっと目を瞑り、窓の方に顔を背けている。
柳谷も同じように顔を土色に染めている。
東坡は眉間に皺を寄せてゆっくり口元を抑えた。
ガタンと音がしたと思ったら牧村が失神して倒れていた。
成川は目と口をかっ開いてありえないほど目を泳がせている。
渡辺が両手で顔を覆って机に突っ伏す。

悲鳴合唱地獄絵図。
誰も叫び声以外の言葉を発しない。


そんな状態が少し続き、信じられないと言った顔をして、鍵をとってきた片桐が戻ってきた。

「……あ……おえっ……」

この悲惨な状況にえずき、そのまま真っ青な顔で枕崎と僕を交互に見た。


「…見ての通り」
「……うっ」

僕の返答に静かに頷き口元を抑える。
枕崎が力なく、席に座った。

時間切れだ。