その後解散になったので僕も帰ろうと鞄を持つ。
しかし再び呼び止められる。
「ひかる」
ん
「枕崎?」
何?
山野はもう帰ったのかな?
枕崎が僕の行く道を塞ぐように立っていた。
「…ちょっといいか」
ん?
枕崎に連れられて着いた場所はあまり使わない校舎の隅の階段だった。
「ごめん、人がいない方がいいと思って変な場所になった」
人のいないところで話すってなんだろう。
「別にいいけど、なに?」
僕の問いに、ふぅと息を吐く枕崎。
そしてまっすぐ僕の前に立ち、まっすぐ僕の目を見た。その綺麗な目に少し緊張する。
「…単刀直入に聞く」
「うん」
「ひかるは…このゲームに関係のある人間か?」
……え?
「ん、どういうこと?」
このゲームに関係ある人間?
それはつまり…
「僕が犯人って言いたいの?」
枕崎も?
柳谷みたいなことやめてよ。
「……」
僕の問いかけに何も言わない。
なんでだよ。柳谷もだけど僕のどこに犯人要素があるわけ?
「違うよ、なわけないじゃん」
「…だよな」
参ったなぁ。
何がそう思わせるんだ?
「なんで枕崎は僕が犯人だと思うの?」
枕崎は一度僕から目を逸らし、長めの瞬きをしてからもう一度僕を見る。
「お前が…普通じゃないからだよ」
…え?
『普通』じゃない?
柳谷と逆のこと言ってる。
「どういう意味?」
「…ごめん、上手く言えないけどそう思ったんだ」
ええなにそれ。
気になる。
「犯人じゃないし、このゲームのことも何も知らないよ」
「……ひかるは犯人じゃないんだな?」
「違うってば」
「本当だな?」
念を押すように、懇願するような目で僕を見る。
「誓って僕じゃない」
だって
「もし僕が犯人だったら、もっと上手くやる」
「っ……」
「枕崎もそうだろ?」
「……それも…そうか」
枕崎がふと肩の力を抜いたのが分かった。
「なんだよ柳谷に続いて枕崎まで…僕そんな変?」
「いや…変っていうか、別に犯人要素があるわけじゃないんだけど」
?
「…もし、ひかるが犯人だったら…やばいと思ったから」
やばい?
「一番犯人であって欲しくなかったから、確認したんだ」
はあ…まあよくわからないけど
違うってことが伝わってるならいいか。
「ごめん、変なこと聞いて」
「いや、疑うのは大事なことだよ」
「ひかるが今日、あまりにも簡単にクリアしてきたから怖くなっちゃってさ」
あー指差したやつね。
「たまたまクリアできただけ。僕もちゃんと怖かった」
「そうだよな、すまん。ひかるが犯人なわけないよな。もし…ひかるだったら…こんなにぬるいわけが……いや、なんでもない」
「……」
…僕が犯人?
なわけないだろ。
犯人側じゃダメなんだよ。
コッチ側じゃないと。
日常を壊した側じゃなくて
コッチ側じゃないと。
そうでないと…
そうでないと…
「ひかる」
「わっあ、ごめんなに」
「だから、もし何か分かったことや怪しいと思った人がいたらすぐ教えてくれ。俺はお前を信用したい。他のクラスメイトよりも」
?
わかった。
「これ以上…誰も死なせたくない」
…
「そうだね」

