「と、とにかく…兄の意見はこんな感じです。この機械の停止方法はありません。ただ、このプログラムは一回きりしか使えないそうです」
…え?
どういうこと?
「一回きり?」
「一装置につき、強制思い込みプログラムが作動するのは一回のみ。つまり、私たちの体に埋め込まれたであろう小型の装置は使い捨てなんです」
じゃあ…それって
「一回使っちゃえば、もう安全ってこと?」
山野が久遠さんの顔を覗き込む。
「はい。しかしその一回があのような使い方では…意味がありませんが」
あのような…
血吐いたり、首ちぎれたりね。
「なあ」
?
東坡がゆったりと顔を上げる。
「その装置って…スイッチ持ってる犯人以外では作動できないのか?」
「え?」
「何かプロセスがあって動いてるんだったら、俺たちが自分で作動させることはできないのか?」
…ああ、なるほど。
もしスイッチ以外で作動する方法があるのなら、使ってしまえばこのゲームを終わらせられるってことか。
「…わかりません。思い込みと言うくらいですから、このプログラムに一番関連性があるのは精神状態。強い信念があれば作動を上書きできる可能性はあります。
プログラムの値を上回るほどの思い込みを発動させれば…打ち消し合うことはできるかもしれません。
しかし我々は日常的に脳の神経細胞を使いきれていない…急に機械を上回るほどの信念を持つなんてことは…ほぼ不可能です」
んーまあ
要するに…
「結論、現時点では逃れようがないってことか」
枕崎が小さく言った。
「…はい」
だけど貴重な情報だった。
「話してくれてありがとう久遠さん」
喋るなって言われたけどお礼くらい良いでしょ。
「あ、いえ…」
久遠さんは僕の言葉に一瞬ビクッとして、無理やり笑った。

